大の里、悔しい千秋楽 勝利も「優勝に関係ない」 九州場所9勝6敗
大相撲九州場所(福岡国際センター)千秋楽の24日、新大関大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は関脇霧島を押し出し、9勝6敗で新大関の場所を終えた。飛躍の1年を白星で締めくくったものの笑顔はなく、「勝っても負けても優勝に関係のない一番だった」と険しい表情。2桁勝利にあと一つ届かなかった無念も大きく、「この悔しさを来年にぶつけたい」と1月の初場所での雪辱を誓った。 【表】大の里の1年の成績 大の里は、琴桜と豊昇龍による優勝を懸けた大一番を土俵下で見届けた。その直前、持ち味である攻めの相撲で霧島を破りはしたが、同じ大関の2人が大歓声を浴びる様子を間近で見て、歯がゆさだけが募った。 今場所は、連続優勝に対する周囲の期待に加え、大関という看板力士としてのプレッシャーと闘い続けた15日間だった。相手に取り口を研究され、得意の右が差せない相撲も多く、初日から11連勝した9月場所の勢いは影を潜めた。 ●年間最多勝も逃す 師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)からは「大関の勝ち越しは2桁」と伝えられていたが、その「ノルマ」にも1勝足りなかった。「終わったことは仕方ない」。支度部屋で、自らに言い聞かせるように語った。この日は結びで琴桜が勝利したため、年間最多勝も星一つの差で逃した。 しかし、2度の優勝と新大関へのスピード出世を成し遂げた1年間の歩みについては「最後に大関になっているとは考えていなかった」と充実感を漂わせた。 ●「見つめ直す」 「まずはしっかり休んで、(自分を)見つめ直し、次に向けて頑張っていく。来年も飛躍できるよう頑張りたい」。この1年、角界を沸かせた新星は、闘志を内に秘めて会場を後にした。 ●「疲れ出たと思う」「父の里」知幸さん 大の里の父で、「父の里」こと中村知幸さん(48)は「新大関の環境の変化に加え、入門から1年半、ここまで突っ走ってきた疲れが出たと思う」と今場所を終えた息子をねぎらった。千秋楽の白星は来場所につながるとし、「来年は綱とりを目指して頑張ってほしい」とさらなる活躍を願った。