ルネサスの第5世代「R-Car」、第1弾は3nm採用で最高レベルの性能実現
TSMCの3nmプロセス採用で「クラス最高の電力効率」
R-Car X5Hは、TSMCの3nmプロセス(N3A)の採用によって、クラス最高の電力効率を実現。5nmプロセスで設計されたデバイスより消費電力を30~35%低減するという。同氏は、「これによって、中央コンピューティングに液冷ECUを使用せずにすむことになり、コストを大幅に削減できる」と強調していた。システム制御プロセッサ(SCP)も統合していて、駐車モードや見張りモードなどのアプリケーション向けにさまざまな低消費電力モードも備えている。 Bhan氏は、「マルチドメインECUを単一のSoCに統合する場合、『ミックスド・クリティカリティ』(複数の異なる安全レベルを要求されるソフトウェアを単一のチップ上で実行すること)も非常に重要となる」とも説明。従来、ほとんどのSoCはハイパーバイザーなどのソフトウェアによって、ミックスド・クリティカリティを実現しているというが、R-Car X5Hは、ハードウェアベースの無干渉(Freedom from Interference:FFI)技術を適用した。 これによって、ブレーキなど高い安全レベルが求められる機能を、低い安全レベルの領域から安全に分離可能となる。高い安全性が求められる機能は冗長化した独立ドメインに割り当てられ、各ドメインに独自のCPUコア、メモリ、インタフェースを持たせることで、他のドメインのハードウェアやソフトウェアに故障が発生した場合でも影響を受けず、重大な車両故障を回避できるという。R-Car X5Hは、ワークロードの優先順位を見極めてリアルタイムに処理リソースを割り当てるQoS(Quality of Service)管理機能も備えている。同氏は、「ハイパーバイザーベースの分離のみに基づく他ソリューションと比較して、ハードウェアアーキテクチャとソフトウェアの両方で分離を組み合わせられるため、顧客は高いセキュリティを確保し、同時に高度な統合も実現できる」としている。
EE Times Japan