なぜオリックスはリーグ3連覇から5位に低迷したのか OB星野伸之が中嶋聡監督の苦悩を分析
【星野氏から見た中嶋監督の信念】 ――パ・リーグでの3連覇は久しぶりで、その前の3連覇(以上)となると、森祇晶監督が率いた黄金時代の西武(1990~1994年に5連覇)までさかのぼります。星野さんから見た中嶋監督のすごさとは? 星野 今季は点が取れず勝ててなかったので、采配の面でもっと動くかなと思ったのですが、そんなに動かなかった。動きそうで動かなかった。つまり、試合の進め方に対する信念は絶対に曲げないなと。ピッチャーを2連投以上させないこともそうですしね。 それは他チームにも影響を与えた選手起用だったと思います。リリーフはこういうふうにしても使っていけるんだと。ブルペンで待機しているピッチャーたちは「投げても2連投まで」とわかっているので、2試合に集中して力を注ぎ込めます。肩の作り方や気持ちの持っていき方がすごくやりやすかったんじゃないでしょうか。 ――中嶋監督は球団に大きな財産を残しましたね。 星野 オリックスの歴史をまた新しく作り上げたわけですし、功績は計り知れません。バトンを受けた岸田護新監督が、中嶋監督が築き上げてきたものを受け継ぎつつ、そのなかでどのように自分のカラーを出していくか、楽しみですね。 ――中嶋監督が退任されたことが、選手たちに対する強烈なメッセージになったと思いますが、いかがですか? 星野 公に発信したということは、ファンの方々に対する「しっかり見守ってくださいね」というメッセージも込められているのかなと。当然、選手個々には中嶋監督の思いが伝わったと思いますし、来季以降の巻き返しを期待しています。 (後編:新監督の岸田護に期待「自分のカラーを打ち出していってほしい」>>) 【プロフィール】 星野伸之(ほしの・のぶゆき) 1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。
浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo