なぜオリックスはリーグ3連覇から5位に低迷したのか OB星野伸之が中嶋聡監督の苦悩を分析
【試合に勝つために必要な"顔ぶれ"】 ――星野さんは、中嶋監督が指揮を執られている間に顔を合わせることもあったと思いますが、印象に残っているお話などはありますか? 星野 ここ4年間で、2回程度しか会っていないんですよ。それでも印象的だったのは、若手を起用する際のポイントについてです。ファームから「この選手が今こんな感じで」などと報告を受け、「今が使い時かな」と頭に置いていておくなど、起用のタイミングは常に見はからっていると。3連覇している時は、そういった選手起用がことごとくハマりましたからね。 特に最後まで混戦だったシーズン(2021年、2022年)はファームから上がってきたばかりの選手の起用が勝負所で効いて、大事な1勝を手にしていきました。そのあたりの見極めはすごかったですね。 ――今季はいろいろな部分で歯車が合わなかった? 星野 頓宮裕真や杉本裕太郎ら、主軸として期待していた選手の不振も響きました。頓宮は昨季に首位打者を獲って、今季はその自信をベースにさらに成績を伸ばせる可能性もあったと思うのですが、なかなかうまくいかなかった。 実績のあるバッターが不振で若手にチャンスを与える機会が多く、それはそれで悪いことではないのですが、試合に勝っていく上で"顔ぶれ"というのは非常に大事だとあらためて感じました。実績のある選手たちがオーダーにどっしりといてくれると相手にとって脅威なわけですから。 ――今季はチーム打率、本塁打、得点がリーグ5位と低迷。星野さんはシーズン前、山本投手らが抜けたピッチャー陣を打線でカバーすることも期待されていました。 星野 今年、特に感じたのは「相手ピッチャーに球数を投げさせられていない」ということ。3連覇していた時は点数が取れないなりに球数を投げさせることができていて、疲労がたまってきた試合後半にワンチャンスを活かして逆転する試合も多かったんです。 とにかく点が取れませんでしたね。宮城大弥は防御率1点台(1.91)でしたが、20試合に登板して7勝(9敗)。やるべきことをやって結果につながらなかったのはすごく厳しい。ローテーションで回るピッチャーのなかで、打線の援護がなかなかもらえないピッチャーってシーズンにひとりぐらいは出てくるものなんですが、それが大黒柱の宮城というのが、投打の歯車が噛み合わなかった今季を物語っています。