三菱製紙は営業赤字…製紙6社の4―6月期、利益を下押しした要因
製紙6社の2024年4―6月期連結決算は、4社が営業減益、1社が営業赤字だった。紙・板紙需要の低迷や、人件費・物流費などのコスト増加が利益を下押しした。各社は下期にかけて販売価格の改善やコスト低減策を徹底し、25年3月期連結業績予想では全社が営業増益を見込む。 【一覧表】製紙6社の業績詳細 24年4―6月期連結決算は、王子ホールディングス(HD)は営業利益が同33・3%減の145億円だった。製品価格の維持・修正やコスト削減を実施したが、海外でのパルプ市況の悪化が足かせとなり、利益を押し下げた。北越コーポレーションも海外子会社におけるパルプの販売価格下落が響いた。 大王製紙は営業利益が同29・3%減の19億円だった。紙おむつや衛生用品などを扱うホーム&パーソナルケア(H&PC)事業は高付加価値品の販売伸長や製品値上げの浸透により利益を15億円押し上げたものの、紙・板紙事業が段ボールや印刷・情報用紙の販売減などにより23億円の減益要因となった。 レンゴーは軟包装材事業を展開するアールエム東セロ(東京都千代田区)など連結子会社が増えたことで増収となったが、人件費や物流費が増加し営業利益は同10・8%減の121億円。三菱製紙は製品販売数量の減少で7000万円の営業赤字だった。 一方、日本製紙は営業利益が同5・1倍の41億円と大幅に伸びた。紙・板紙製品の販売数量は減ったものの、製品値上げや原価改善が寄与した。 25年3月期連結業績予想は、全社が従来計画を据え置いた。レンゴーは主力の段ボールの販売数量が伸びると見通すほか、製品値上げの浸透によって2年連続で過去最高益を見込む。物流など3分野で業務提携する大王製紙と北越コーポレーションは、製品の相互輸送などを推進することでコスト削減につなげる。