野呂佳代の魅力爆発…“ネオ・コメディエンヌ”として愛されるワケ。『ザ・トラベルナース』第3話考察レビュー
ドラマ『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)が放送中。手術場で医師を補助し、一定の医療行為ができる看護資格「NP」を持つ那須田歩(岡田将生)と、スーパーナースの九鬼静(中井貴一)の曲者コンビが命の現場で戦う。今回は、第3話のレビューをお届け。(文・浜瀬将樹)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】野呂佳代が可愛すぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『ザ・トラベルナース』劇中カット一覧
経験を重ねることで魅力が増す野呂佳代
アイドルが俳優に転身し、演技の世界で活躍することは珍しくない。歴史をたどれば、誰もが知る大御所の俳優に「アイドル時代があった」なんて話も聞いたことがある。そんななか、独自の道を切り開き、俳優として大成している元アイドルがいる。野呂佳代だ。 AKB48を卒業後、紆余曲折ありながらも『ゴッドタン』(テレ東系)や『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)などで才能を発揮し、バラエティー女王の道を歩んでいた彼女。当初は、ドラマに出たとしてもインパクトのある役(なかやまきんに君演じる男に殺害される役!?)が多く、イジられることも多かった。 このままバラエティー路線でいくのか…と思われたが、その演技力の高さと圧倒的な存在感を武器に、近年では『ブラッシュアップライフ』(2023、日本テレビ系)、『アンメット ある脳外科医の日記』(2024、カンテレ・フジテレビ系)、『西園寺さんは家事をしない』(2024、TBS系)、さらにはNHK大河ドラマ『光る君へ』(2024)に出演。年齢や経験を重ねていくなかで、さらに魅力が増していき、唯一無二の俳優となった。 元アイドルの俳優は主役を演じたり、個性派になったり、バイプレイヤーとして異彩を放ったりとさまざまな椅子に座っていくが、三枚目に振り切れる野呂はコメディエンヌとしてのポジションを築いたように感じる。そんな彼女のメイン回となったのが、『ザ・トラベルナース』第3話である。
マッチングアプリで出会った男性に…。
野呂演じるフリーランスのナース・森口福美は、マッチングアプリを利用して男性と会うことに。しかし、待ち合わせ場所にマッチングした相手は現れなかった。落胆する福美だったが、虫垂炎の患者・三原裕樹(馬場徹)こそがその相手だと気づき、「運命の人!」と目を輝かせる。 体温計をとろうとして手が触れ合ってドキドキする、三原から仕事を褒められて照れるなど、どんどん夢中になっていく福美。一方、歩は、原因不明の腹痛やしびれを訴え、入院が長引いている三原が、仮病(詐病)を使っていると見抜いて…。 じつは三原が入院を長引かせようとしたのは、元地下アイドルで、現在は配信者としても活動している福美の後輩・中村柚子(森田望智)の大ファンだったから。たまたま病院で彼女を見かけた三原は、どうにかして入院を長引かせようとしたのだ。 夜の公園で恋の傷を癒している福美のもとに、「静さんに持っていけって言われたんで」と歩がおにぎりを持参してきた。涙ながらにおにぎりを頬張る福美。歩に抱きつこうとするも、逃げられて…。その後、いつもの明るい彼女に戻るのだった。
野呂佳代の躍進は止められない!
「アイドルから俳優へ」、「バラエティーから演技の世界へ」など前例は多く存在するが、野呂の世代で、バラエティーに必要な人材であり(お飾りじゃない)、映画・ドラマの世界でも存在感を発揮する…と両輪で活躍できる人は少ないように思う。 作品で「同僚にいそう」、「近所に住んでいそう」な雰囲気を巧みに出せるだけでなく、誰もが実力を認めながらも、芸人が気軽にイジられる器を持つ俳優なんてそういない。 お茶の間からも、演技の世界からも、芸人の世界からも愛される“ネオ・コメディエンヌ”野呂の躍進は、もう誰にも止められないのではないだろうか。 (文・浜瀬将樹)
浜瀬将樹