有村架純×坂口健太郎 Netflixシリーズ『さよならのつづき』インタビュー
Netflixで配信中の『さよならのつづき』は、まさに「別れ」からはじまるビタースウィートな愛の物語だ。事故で恋人を失った女性と、その恋人に命を救われた男性。運命に翻弄されるふたりを演じた有村架純と坂口健太郎が、実はチャレンジングだったという制作の裏側を語り合う。 【記事中の画像をすべて見る】
――おもな舞台は北海道の小樽。有村さん演じるさえ子は事故で最愛の恋人、雄介(生田斗真)を失った後、坂口さん扮する成瀬に出会います。彼は雄介から提供された心臓の移植を受けていて、しかもその記憶を引き継いでいたことから、物語が動き出します。脚本を読み、どんな点が印象に残りましたか? 有村:この作品、最初はタイトルがなくて。みんなでどういうのがいいんだろうねって考えていました。制作が進み、ある時点で脚本家の岡田惠和さん自身が「さよならのつづき」を考えついて。それを耳にした時に、「そうか、この物語は“さよならのつづき”を描いているんだ」って、すごくしっくりきたんです。 坂口:なんかさ、僕らもいろいろ案を出したよね。僕、全然採用されなかった。コーヒーの実と心臓が両方赤いことにかけて、「赤い実が落ちる頃」って提案してみたら、即「ああそれはないね」って(笑)。 有村:ちょっと途中、大喜利みたいだったね(笑)。そもそも臓器移植によって、亡くなった方の記憶が受け継がれるという設定は、誰もが共感できるものでは決してなくて。でも一説では、本当にそういう体験をされた方もいらっしゃるそうです。事実として記録が残っていて、完全なフィクションではないから、ある程度のリアリティをもって演じなければと思いました。 それに成瀬は結婚していて、安易な考えかもしれないですが、普通に演じると不倫の物語で終わってしまう。そうならないように、“愛されて愛した記憶って永遠に残り続ける”という、その純度を高く演じきることが大切なはずと感じていたんです。「さよならのつづき」というタイトルがついたことで、より背中を押してもらえた感じがありました。 坂口:同じように、最初はめちゃくちゃ難しいことをやろうとしているなって思いました。簡単に、ドロドロした湿度高めの作品にもできちゃう。ある種の軽やかさや、「こういう状況なら惹かれ合っても仕方ないよね」という説得力がないと、何も伝わらないだろうなって。愛情って、多くの人がある程度平等に持っているもの。だからこそ、ラブストーリーを演じる時はいつも難しいんです。100人いたら、100とおりの愛の持ち方があるだろうから。たとえばサイコパスとか、共感するのが難しい役なら、逆に飛ばして演じたりもできるんだけど。 成瀬はさえ子を目にするたび、雄介視点の過去がフラッシュバックし、当初はそれがなんなのかわからない。それと同時に、体に不調を覚え、自分に残された時間はそう長くないのかもしれないと予感している。役を表現するのにいろいろな選択肢があって、何が正解なんだろうなというのはいつも思っていました。心臓のことはドラマチックですけど、何か大げさな出来事が起きる物語ってわけではなくて。 ――描かれるのは、ほとんど日常の風景ですよね。 坂口:でもふたりの間では、すごく濃くて大きいことが起きているだろうから。“その心の動きを、観る方にどう受け入れてもらえばいいんだろう?”と考える時間は、意外と楽しかった。その面で僕は俳優として、このプロジェクトに魅力を感じたのかもしれません。架純ちゃんと一緒に挑めるのも心強かったです。