みずほの「楽天カードに出資」に透ける将来への布石 サービス協業や業務連携だけにとどまらない
みずほフィナンシャルグループ(FG)のリテール金融戦略に、強力なパートナーが加わった。 楽天カードとの資本業務提携の検討を進めていたみずほFGは、同社に14.99%出資することを決めた。楽天カード株の取得額は約1650億円。12月1日に株式が譲渡される。 協業の第1弾として、12月3日から提携クレジットカードの「みずほ楽天カード」を発行する。利用額の引き落とし口座をみずほ銀行に限定し、カード利用で楽天ポイントが貯まる。利用状況に応じてATM手数料や振込手数料の優遇も受けられる。
両者は11月14日に記者会見を開き、みずほFGの木原正裕社長は「(連携で)いろんなことができる」と今後の提携の広がりを強調。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も「協業には大きなシナジーがある」と提携の意義を語った。 ■UCカードとオリコも加わる 業務提携の枠組みには、みずほ銀行の100%子会社ユーシー(UC)カードと、同行が49%出資するオリエントコーポレーションも加わる。各社のサービスや強みを融合させることで「いろいろな形の協業を考えている」(みずほFGの木原社長)とし、各種の施策を今後打ち出す構えだ。
すでに検討を始めている具体的な提携内容も示された。その1つがポイントサービスの連携。みずほFGが来春に予定している「みずほマイレージクラブ」の刷新に合わせて、銀行取引と楽天ポイントとの連携をスタートさせる方針だ。 オリコが提供する独自の性能規定与信を用いた支払いサービス「デジタル分割払い」を、楽天市場の決済手段として導入することも協議する。 オリコは昨年、経済産業省から「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得。割賦販売法で定められた「支払い可能見込み額調査」ではなく、独自のAI(人工知能)与信でクレジット限度額を設定できるようになった。これにより30分程度かかっていた審査時間は60秒に短縮された。