ファンのニコニコの笑顔を見られて良かった。次はCSで厳しい戦いが待っている。選手たちには日本一になってほしい。ポストシーズンも“普通に戦う”のみよ【岡田彰布のそらそうよ】
日本SとCSの思い出は……
短期決戦は投手力やと思っている。そこを整備して、打線の調子をいかに上向きにしてCSに入れるか
18年ぶりの優勝は、圧倒的なゲーム差をつけての優勝だった。ここからは1985年以来の日本一へ向けての戦いが始まる。チームには手応えを感じているが、そのポストシーズンをどう戦うか、指揮官は思案をしているが……。 写真=BBM 週刊ベースボールの読者の皆さん、1カ月ぶりです……って、「そらそうよ」は2週間ほど前に読んでいただいたばかり。日程がタイトだと思っていたら、今回は阪神特集号とのこと。ありがとうございます。「アレ」ができて、優勝を果たしたことで、みんなが喜んでくれた。これがうれしい。ファンのニコニコの笑顔を見て、あらためてよかった……と感慨にふける今日このごろです。 阪神タイガース監督の岡田彰布です。2023年シーズンも終わりを迎えました。だがタイガースは終わりではありません。これから始まる短期決戦。それを勝ち抜いていく先に「日本一」が待っています。日本で最も遅くまで野球ができるチームでありたい。そう思って、CS(クライマックスシリーズ)への調整に入っています。 ポストシーズン。オレは過去3度、日本シリーズを経験している。それもレギュラー選手として、コーチとして、そして監督として。立場を変えて3度経験しているのは珍しいと思う。 1985年は西武との戦いやったけど、これは正直、自信があった。とにかく打線の状態がよくって、負けるイメージがまったくなかった。西武の投手陣を打ち込み、4勝2敗で日本一に。これは阪神の長い歴史の中で、初めてのことやった。 コーチとして臨んだのが2003年。星野(星野仙一監督)さんの下、ダイエーとの激突やったけど、このシリーズは極端な傾向が出た。本拠地で互いに強くて、それを「内弁慶シリーズ」と表現された。甲子園で3試合、博多で4試合。内弁慶と言われたとおり、博多ですべて負けた。当時のダイエーはホンマ、強くてな。迫力があった。このシリーズを最後に星野さんが退任することになって……。日本一を逃したこともあり、ホンマ、印象強く残っているな。 その2年後。オレは監督(2年目)として日本シリーズに挑んだ。レギュラーシーズンは中日との戦いを制し、ホンマ、自信満々やったわ。相手はどこでも来い! という感じやったし、絶対に日本一になれると信じて疑わなかった。 ところが……である。パ・リーグのチャンピオンのロッテ、これがとんでもない勢いを見せた。若い選手の勢いというのかな。今江(今江敏晃)とか西岡(西岡剛)とか。そら無茶苦茶打たれたわ。第1戦は、霧でコールドになるなど、踏んだり蹴ったり。本拠地に戻っても、この流れは変えることができなかった。結局、阪神が4試合で記録した得点は「4」で、ロッテは「33」。そら負けるわね。 あとはCSにも印象深い試合があった。08年やね。オレは優勝を逃したことで、この年限りで監督を退くことを決めていた。そんな中、中日とのファーストステージ。1勝1敗での3戦目。最後、球児(藤川球児)がウッズに打たれて・・・
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週刊ベースボール