今冬の感染症流行予報 ~コロナ再燃と冬の感染症の復活~【東京医科大客員教授・濱田篤郎】
◇基本的な予防対策を
一方、ヒトの免疫状態については、今までよりも低くなることが予想されます。免疫は時間経過とともに減衰するのに加え、日本では今年4月からコロナワクチン接種が有料になっており、接種率が低下しているためです。この結果、患者数は昨冬よりも増加する可能性がありますが、重症者が増える状況にまでは至らないでしょう。 ただし、高齢者は重症化を起こす確率が高くなるため、ワクチンの追加接種を受け、免疫を高めておくことが推奨されています。日本では定期接種として国や自治体が補助金を出していますし、欧米諸国でも高齢者には追加接種を勧めています。高齢者以外の世代は有料の任意接種になるため、各自がそのメリットとデメリットを考えて接種を受けるか否かを判断することになります。 今冬は、コロナに加えてインフルエンザやノロウイルスの流行も起こることが予想されていますが、手洗いやマスク着用といった基本的な予防対策を強化すれば、大きな被害を生ずることなく乗り越えることができるはずです。(了)
濱田 篤郎(はまだ・あつお) 東京医科大学病院渡航者医療センター客員教授 1981年東京慈恵会医科大学卒業後、米国Case Western Reserve大学留学。東京慈恵会医科大で熱帯医学教室講師を経て2004年海外勤務健康管理センター所長代理。10年東京医科大学病院渡航者医療センター教授。24年4月より現職。渡航医学に精通し、海外渡航者の健康や感染症史に関する著書多数。新著は「パンデミックを生き抜く 中世ペストに学ぶ新型コロナ対策」(朝日新聞出版)。