「中長距離フェリー」とは何か? 物流支える知られざる“裏方”、日本各地で活躍するその最新動向とは
国内フェリーの利用者の推移と需要動向
国内フェリーの旅客輸送人員と自動車航送台数の推移をみてみよう。なお、旅客輸送人員はフェリーを含め全ての旅客船の乗船人員である(日本旅客船協会の資料より)。 ・2000年:旅客輸送人員110.1(100万人)、乗用車・その他10591(千台)、トラック5559(千台) ・2010年:旅客輸送人員85.0(100万人)、乗用車・その他7659(千台)、トラック3922(千台) ・2015年:旅客輸送人員87.9(100万人)、乗用車・その他7326(千台)、トラック3729(千台) ・2020年:旅客輸送人員45.3(100万人)、乗用車・その他5639(千台)、トラック3552(千台) 高速道路の値下げの影響で、旅客も自動車も2000(平成12)年から2010年にかけて大きく落ち込んでいる。しかし、2010年台は微減、あるいは年によっては微増で推移してきたのは、需要の底堅さを物語っているのではないだろうか。コロナ禍においても、旅客はおよそ半減していたが、乗用車・その他で25%、トラックはわずか5%しか落ち込んでいない。 自動車航送の需要の高さから航路距離100km以上の中長距離フェリーは、大型化が進んできた。国土交通省の資料では ・1990年:約7900t ・2000年:約1万t ・2020年:約1万1000t と、総トン数が1990年と比較して2020年は1.4倍となっている。将来の見通しとしては、トラックドライバー不足により、2030年には輸送能力の34.1%(9.4億t)が不足するという推計もある。また、国の物流革新に向けた政策パッケージでは、 「内航(フェリー・RORO船等)の輸送量および輸送分担率を今後10年程度で倍増させる」 という目標を掲げている。これにより、今後ますます中長距離フェリーおよびトラックや荷台だけ輸送するRORO船の需要が高まるとみられている。