イスラエルのレバノン地上侵攻迫る、米は大規模作戦の自制求める
(ブルームバーグ): イスラエルはレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラに対する差し迫った地上攻撃に備え、同国との国境沿いの地域を封鎖した。自制を求める国際社会の声の高まりを無視する構えだ。
今後予想される攻撃はヒズボラに対する攻撃をさらに拡大するものとなる。イスラエルは米国や欧州連合(EU)、アラブ諸国などが停戦を呼びかけているにもかかわらず、9月27日にヒズボラの指導者ナスララ師を殺害した。イスラエルはパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの戦争が膠着(こうちゃく)状態にあることから、レバノンに焦点を移している。
米政府はイスラエルがレバノンに限定的な地上侵攻を行うと予想しているが、イランとの直接対決を招きかねない大規模かつ長期的な作戦を実行しないよう、ネタニヤフ政権に警告している。事情に詳しい米政府当局者が匿名を条件に明らかにした。
イスラエルはここ1週間、レバノンに対し大規模な空爆を実施。30日には首都ベイルート中心部を攻撃した。ここ数カ月に小規模な特殊部隊を国境を越えて投入したイスラエルは、戦車部隊を含め地上部隊をさらにレバノン南部に派遣する用意があることを示唆した。
イスラエルのガラント国防相は30日に国境沿いに配備された戦車乗員に対し、ナスララ師殺害はヒズボラとの戦いの最終段階ではないと述べ、「われわれの自由裁量で利用可能な全ての能力を活用する」と語った。
ネタニヤフ首相は、ヒズボラによるロケット攻撃を終わらせ、イスラエル北部から何万人ものイスラエル人が避難を余儀なくされている状況を終了させることがヒズボラ壊滅の目標だと述べている。
非公開の協議内容を話しているとして匿名を条件に述べた同当局者によれば、バイデン米政権はイスラエルに対し、大規模な作戦を展開しないよう説得。イスラエルは代わりに、同国とレバノンとの国境からヒズボラのインフラ施設を排除することにフォーカスし、標的を絞った攻撃を行うという。