もし山で「スマホ」を落としたら…!? 危険すぎる「追跡&GPS地図ナシ」体験談レポ
登山者にとって、いまやスマホは必須装備と言っても過言ではない。筆者も山にスマホは必ず持っていく。また、スマホ落下防止のためにバックパックかパンツのベルトループにつないでいる。街中であっても、スマホを落としたらかなり痛い。山の中となると痛いどころか恐怖に変わる。 ■【画像】こんな場所で落としたら完全アウト? 想像するだけで怖い「山の写真」と絶対に避けたい「スマホ紛失」の対策(写真をすべて見る)
■もしも山でスマホを落としたらどうなるのか?
山でスマホを落としたらどうなるのか、想像してみてほしい。 GPSアプリを利用している登山者が一番困るのは、現在地や進むべき方向がわからなくなることであろう。下界(街の中)との通信手段が断たれることも大きなリスクだ。万が一、ケガや道迷いをしたとき、SOS発信ができないだけでなく、天気が悪いとき、天気予報も確認できない。Googleマップを利用して登山口までアクセスしている筆者は、自宅に帰るのでさえスマホがないと困ってしまう。 登山届を電子で提出している人は、下山通知が出せないため、家族や友人に不要な心配をかけてしまう恐れもある。 もちろん、グループで登山している場合はメンバーの誰かがスマホを所持しているはずだから、現在地がわからなくて困るとか、連絡手段が断たれるといった心配は少なくて済むかもしれない。しかし、スマホを持たない状態のまま登山を続けるとなると心穏やかではない。 これから紹介する山でスマホを落とした友人も、スマホがないことに気付きながらも自分の不注意のせいで登山を中止するわけにもいかず、登山を続行した。 しかし、スマホの捜索をあきらめたわけではなかった。山でスマホを落としたらどうなるのか? 彼はどのようにしてスマホを探したのか? ご紹介しよう。
■実際に山でスマホを落としたAさんの実体験
●Aさんがスマホを探すためにとった行動とは? 筆者の友人のAさんは、登山歴3年目。最近体力や技術がついてきて、夏はアルプス縦走、冬は雪山登山など年間を通して登山を楽しんでいる。 ある日、Aさんは山仲間のBさんを誘い、SNSで知り合った登山者数人と駅で落ち合って登山にでかけた。そのメンバーたちとは、何度か一緒に山に登った経験があった。 8時40分登山口をスタート。Aさんは、当日写真を撮るとき以外はスマホを見ないようにしていた。今回初参加した山仲間のBさんは地図読みのエキスパートで、登山中彼に地図の読み方を教わっていたからだ。 山頂に向かう途中、写真を撮ろうとしたAさんはスマホがないことに気がつく。辺りを探してみたが見つからない。そこでAさんは、登山アプリ「YAMAP(ヤマップ)」の「みまもり機能」を使って、スマホの位置情報を調べられることに思いつく。 「みまもり機能」とは活動中の登山者の位置情報を共有している家族などに送信するサービス。Aさんは、メンバーにスマホを借りて家族に連絡し、スマホ位置情報のGPS画像をスクショして送ってもらった。焦る気持ちがありつつも、グループから離脱して勝手な行動をとるわけにもいかない。 ひとり穏やかでない心境のまま山頂へ登頂。本来であれば美しい景色を見ながらのお昼休憩であるが、景色を楽しむ余裕もないし、昼食も喉を通らない。 お昼休憩の後、12時過ぎにようやく下山開始となる。 13時45分、Aさんはスマホを無事見つける。スマホはスクショされたGPS画像付近に落ちていた。そこは登りの途中でバックパックを下ろして休憩した場所だった。 ●まさかの2台目捜索! 14時30分、スマホを落とすトラブルはあったものの無事下山して、登山口で身支度を整えていたとき、突然Cさんが悲鳴をあげる。 「スマホがない!」 メンバー全員が驚く。皮肉にもその日、2人もスマホを落とすという事態になってしまうとは。 GPSを頼りに登山をしているCさんは、スマホなしで1人で山に探しにいくこともできない。AさんとBさんはCさんに連れ添い、再びスマホを探しに3人で山に向かった。 Aさんの場合は、みまもり機能のおかげで現在地を特定できたが、今回はノーヒント。山は冬の装いで、登山道には落ち葉が積もっている。足で落ち葉をかき分け、目を凝らしながら登っていく。Aさんがスマホを落とした場所まで登り返したが、まだ見つからない。時刻はすでに15時をまわり、辺りは薄暗くなってきた。日没を考えるとそろそろ下山開始のタイムリミットだ。Bさんは、あと10分だけ登って見つからなければ諦めてほしいとCさんに提案。Cさんも同意し、最後10分だけ登り返す。 タイムリミットが近づいてきたとき、Aさんが落ち葉の中に光るものを発見! Cさんがスマホにつけていたシルバーのストラップが夕日に反射していたのだ。 16時10分、3人が無事下山して登山が終了した。