新型コロナの新たな変異株「XEC」が世界で急速に広がる 新たな流行に?
これまでに欧州や北米、アジアの27カ国で検出されている
新型コロナウイルスは変異を繰り返してもいる。その結果、新たな変異株が次々に出現している。これらの変異株には、そこまで注意を払わなくてよいものも多い一方で、数カ月ごとに、注意を払うべき変異株が頭を、そのトゲトゲ頭をもたげてくる。その最新例がXECだ。XECは変異株の「KS.1.1」と「KP.3.3」の「子ども」にあたり、これもまたオミクロン株系統の変異株だ。なんと、オミクロン株系統の変異ウイルスへの感染は2021年11月下旬からずっと続いている。 XECは6月にドイツのベルリンで初めて検出された。その後世界に広がり、これまでに欧州や北米、アジアの27カ国で確認されている。米カリフォルニア州にある医療研究機関スクリプス研究所のウェブサイト「Outbreak.info」によれば、米国では9月4日時点で12州で検出されている(編集注:同サイトによると日本では未検出)。米国では現時点で支配的な変異株になっていないものの、現在拡散しているほかの変異株よりも適応性が高いようだ。 適応性が高いというのは、XECはほかの変異株よりも急速に、あるいは容易に広がる可能性があるということだ。理由はまだわかっていない。XECは感染者からの排出量が多いのかもしれないし、細胞内に取り込まれやすいのかもしれない。あるいは、ワクチン接種や以前の感染による免疫防御を回避するのに長けているのかもしれない。 これらを検証するにはさらにデータと研究が必要になる。とはいえ、XECは実際にほかの変異株よりもかなり急速に広まっているとみられ、それはこの変異株に適応面で優位性があることを示唆する。 XECが現在あるいは以前のほかの変異株に比べて、重篤な症状やアウトカム(治療後の経過・結果)を招きやすいのかを判断するのにも、やはりデータや研究がもっと必要になる。ただ、現状よりも広範な検査や実施され、より包括的な監視システムが整わないかぎり、この判断は難しそうだ。