涙ぐむ人…高2死亡、窓から身を乗り出して車が横転 深夜グラウンドで 高校が説明会、保護者「ずさんであり得ない」 頭を下げてあいさつし、真面目な生徒が多い学校「いたたまれない」
埼玉県さいたま市西区西遊馬の私立埼玉栄高校グラウンドで16日夜、同校の男子生徒4人が乗った軽乗用車が横転し、1人が死亡した事故で、同校は20日夜、保護者説明会を開いた。参加した保護者によると、校長らが事故当時の鍵の管理体制などを説明。保護者から「防げた事故だったのでは」との指摘が出たという。 死亡した高2がいた助手席側の写真 ドアに傷があり天井も凹んだか ヘッドライト付近にも傷が【写真4枚】
説明会では、保護者から「監督とコーチでダブルチェックすべきでは」などの声が上がり、涙ぐむ人もいたという。50代男性は「起きなかったはずの事故。当たり前のことを当たり前にできる管理体制にしてほしい」と話した。 2人の子どもを通わせる男性(45)は鍵の管理体制を質問し、学校側の回答に「納得した」と話す。ただ、学校側が「顧問に一任していた」としていることに、「ずさんであり得ない」と指摘した。 説明会前、保護者らは「同じ学校に子を通わせる親として、いたたまれない」などと話し、沈痛な面持ちで言葉少なに校舎内に足を運んだ。 同校3年の女子生徒の母親(47)は「高校生とはいえ、まだ幼い。痛ましい事故が起きた経緯を知りたいし、学校には対策を講じてほしい」。2年の女子生徒の父親は「鍵の管理と今後の対応について聞きたい」と話した。 事故現場のグラウンド周辺は、夜は真っ暗で人が通ることはめったにないという。ただ、近所の男性(67)は夏に数回、照明が午後11時過ぎまで点灯しているのを見て「普段は午後7、8時には部活が終わり、照明が消えているのに」と不思議に思ったという。事故を報道で知り、「生徒たちは頭を下げてあいさつするなど、しっかりしている印象。過ぎたいたずらだったのかも」と案じた。救急車やパトカーの音で目が覚めた近隣の60代女性も「真面目な生徒が多いのに」と驚きを隠せず、「今後同じことがないようにしてほしい」と話した。
■車内で鍵を保管「円滑な受け渡しのため」(以下、記者会見時の記事) さいたま市西区西遊馬の私立埼玉栄高校の総合グラウンドで16日夜、同校の生徒らが乗った整備用の軽乗用車が横転し1人が死亡した事故を巡り、同校を運営する学校法人佐藤栄学園は19日、記者会見を開き、田中淳子理事長は「悲しい事故が起き、痛恨の極み。亡くなった生徒やご遺族の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。同法人幹部らは会見で「事故車両はサッカー部所有で、管理を一任していた」と車の鍵の管理に関与していなかったとしつつ、「鍵の管理に落ち度があったのが事故の最大の原因」と責任を認めた。 同校は18日、全校生徒に事故を説明し、黙とうをささげたという。20日に臨時保護者会を開き、保護者らに説明するとしている。 事故は16日午後11時半ごろ発生した。男子生徒(16)が車を運転し、陸上部トレーニング用の坂に衝突して横転。運転していた生徒が119番した。助手席に乗っていた男子生徒(17)が車と地面の間に挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。事故当時、車窓から身を乗り出していたとみられる。