“トランプ返り咲き”が確定…生出演の岸田前首相と日米関係・国際政治の今後を考える
トランプ政権による米中関係・イスラエル情勢の変化に備える
反町理キャスター: 米中対立は激化するか。トランプ氏の対中姿勢は関税強化を示唆しながら交渉を重視するというもの。前回のトランプ政権のときにも中国に対して関税を大きく上げたが、トランプ次期大統領は日本に対して一緒に中国に制裁をしようと言ってくるのでは。 岸田文雄 前首相: いろんなケースがあるだろうが、中国はそれに対抗する。大国同士がやり合うと周囲の国も影響を受ける。米中の関係だからといって他人ごとでは済まない。米国の中国に対する対応一つとっても、中国の反応によって日本が大変な不利益をこうむることもある。米中の関係であっても、アメリカと対応を協議し注文をつけるような関係も作っておかなければならない。日本として早速その仕掛けを考えていかなければいけない。対話して人間関係の構築に努めることが大事。 反町理キャスター: そうしてアメリカをなだめたとき、安保にダメージが行かないか。つまり、ならば尖閣については自分で守れというように経済と安保をバーターにするような感覚は、アメリカ側にはないか。 岸田文雄 前首相: 国際社会における繁栄・安定が日米両方の国の国益だというのはまさにそこ。アメリカが内向きで国益を追求するだけでは、結果として国益を守ることはできない。大きな枠組みの中で国益を考えるという説得を日本ができるかどうか。 反町理キャスター: 日本というより、石破さんがトランプさんに対してそれをできるか、と聞こえる。 岸田文雄 前首相: 石破総理の役割は大変大きい。日本外交としてそれをやらないと日本の国益を守れない。 反町理キャスター: そのために人脈を生かすことも石破さんの政治手腕。 岸田文雄 前首相: 8月14日に退陣を表明したとき、私はけじめを付けるため退陣する、だが総裁選でしっかり総裁を選び、その後ドリームチームを作ってもらいたいと申し上げた。大変厳しい状況だからこそ、その発想は大事だと思う。 反町理キャスター: ウクライナ情勢への影響。トランプ政権のもと、ウクライナに対し領土についての一定の譲歩を求めた上で終戦の方向へ、という可能性も取り沙汰されている。そのとき、一緒にゼレンスキー大統領の説得に回るような立場をとるべきか。 岸田文雄 前首相: いや、日本は今の基本的な立場を変えるべきではないと思う。もちろん平和を一日も早く実現することは大事だが、ウクライナの問題はヨーロッパの一地域の国の間の戦争ではなく国際社会全体の問題。私は2年前に、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれないとNATO首脳会談などでも訴えた。法の支配に基づいて国際秩序を考えることが大事だと。このスタンスを日本は譲ってはならない。