話題の3代目大家・石井さん、マンションに”庭”を作ったら街の人が集まりはじめた。みんなの「やってみたい」に応え地域に開いたスペースを次々と 神奈川県川崎市
街の人たちの「やりたい」に応えて、地域に開かれたスペースを次々と生み出す
拠点を生み出すことで、そこで自然と交流していく姿に、石井さんはますます面白みを見いだしていきます。そして、石井さんのもとには、街に住むあらゆる人から相談が持ちかけられるようになっていったのです。 「『実はお店をやってみたいんだ』『コミュニティスペースをやってみたいの』と相談されるようになったんですよ。だんだんと変化していく街の一角を見て、同じ商店街の人や、近所のママさんからも同じような声をかけられるようになっていったんです。だったら、“やりたいことがある人が、挑戦できる場所をつくってあげたい! “と、自社管理物件の一部をさらに活用することにしました」 そこで、2016年に「セシーズイシイ7」から徒歩5分ほどの場所にある、築50年以上のマンション「第六南荘」の一部をリノベーション。事務所や店舗利用が可能な仕様に変更し、まず一部の店舗がオープンします。そこから少しずつ、さまざまな店舗が入居して徐々に店やスペースが増えていきました。
通りに面した1階部分は「菓子工房 ichie」や、一級建築士事務所「ピークスタジオ」の事務所が並んでいます。塀がとりはらわれた庭先には、共用デッキが設けられており、通りからデッキを通じて、各々のスペースに入ることができます。オープンなスタイルゆえ、行き交う人の姿も見え、風も光も感じられるなごみの空間です。
お店やカフェだけではもったいないーー石井さんはさらに、「セシーズイシイ7」の向かいにある自社商業店舗の一部に、コワーキングスペースの「新城WORK」をオープン。時は、コロナ禍により人々の働き方は出社形式から、リモートワークが増えた変化の時期。20代~40代を中心に、新城WORKにも次第に人が訪れるようになったそうです。
「普段はもっと年齢層が高い世代の方が街には多かったのに、コロナ禍をきっかけに若い人たちを目にすることが増えました。この街に、こんなに若い方がいたんだな、という驚きの気持ちでいっぱいでした」