体重コントロールに重要な「炭水化物の上手な選び方」とは【海外論文解説】
今回の発表内容への受け止めは?
編集部: アメリカのハーバード公衆衛生大学院らの研究グループによる発表内容への受け止めを教えてください。 中路先生: ハーバード大学らのアメリカ人を対象としたコホート研究は多人数の研究ではありますが、対象が65歳以下の比較的健康な看護師などを含む医療従事者に限られていました。また、高齢で基礎疾患がある一般の人などは含まれていないことや、特定の炭水化物の摂取により体重が増加するという関連も示されておらず、食生活や人口年齢分布が他国への結論の一般化は困難と考えられるなどの限界があります。しかし、全粒穀物や非でんぷん質の野菜を含む食事は、体重コントロールを希望する中年の人たちにとって最良な食事の選択枝であることを示唆するものとして大変興味深い研究であると考えられます。今後、同様の研究が日本でもおこなわれることを期待いたします。
実際の生活習慣に活かせる可能性は?
編集部: アメリカのハーバード公衆衛生大学院らの研究グループによる発表内容で、炭水化物の摂取量の経時的変化と体重の長期的変化との関連を評価されましたが、今回の研究内容を実際に生活習慣改善に活かすことができる可能性はあるのでしょうか? 中路先生: 今回の研究結果を参考にすると、体重のコントロールには炭水化物そのものを抜くよりも「炭水化物を上手に選択する」ことが重要と考えられます。つまり、炭水化物は食物繊維を多く含む低GI食であるライ麦パンや玄米、サツマイモなどを多く摂取するように心がけ、逆に高GI食であるアンパンやフランスパン、ジャガイモ、精白米などはなるべく避けるようにすることが肝要です。また、これらの食物繊維が多く含まれている食品は満腹感を得やすいため、食事量を調節しやすいことに加え、食物繊維は血糖のトランスポートを遅延させ、食後の血糖を正常にコントロールするのに有用です。ただし、バランスが重要であり、これらの食事を日常生活の中で上手に組み合わせていくことが重要であると考えます。