国内景気は4カ月ぶりに「悪化」~季節需要の低迷や節約志向の高まりが下押し~
帝国データバンクが2024年10月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.3ポイント減の44.3となり、4カ月ぶりに悪化した。 10月は、長引く残暑による秋冬物の出足が悪く、買い控えや選別購入など節約志向の高まりにより、個人消費が停滞し、景況感が悪化。人手不足や最低賃金の引き上げによる人件費の増加は企業の収益性を抑制する要因となっている。原材料費の高騰で飲食料品関連は上流から下流まで全体的に悪化する結果となった。 一方で、防災・災害復旧工事などの建設関連や、大都市圏での再開発は好調だったほか、自動車生産の回復や好調なインバウンド需要の継続もプラス材料として働いた。
10業界中6業界で悪化、個人消費の停滞と人件費増加が重しに
業界別では『サービス』『小売』など10業界中6業界が悪化、全業界で50を下回った。 なかでも、『サービス』は2カ月ぶりに悪化。「飲食店」は、原材料費の増加や人手不足などに加え、「外食意欲がないと感じる」(一般食堂)といった声も聞かれ、2カ月連続で落ち込んだ。また、最低賃金の上昇にともなう人件費の増加などが響く「メンテナンス・警備・検査」も同じく2カ月連続で下落したほか、「診療報酬制度が物価上昇に釣り合わない」(一般病院)などといった声が寄せられる「医療・福祉・保健衛生」は3カ月ぶりに悪化した。 他方、インバウンドや国内旅行が好調な「旅館・ホテル」は2カ月連続で改善している。 『小売』は2カ月連続で悪化し、1年8カ月ぶりに30台に低下。節約志向の高まりにより、購入点数や来店頻度の減少などから「飲食料品小売」は2カ月連続、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」は3カ月連続の悪化となった。 ほかにも、「秋物の動きが悪い。気温の高い日が続き、購買意欲が落ちている」(婦人・子供服小売)といった声が聞かれる「繊維・繊維製品・服飾品小売」は2カ月連続で落ち込んだ。
10地域中8地域で悪化、季節感の喪失が地域経済にも影響
全国を10の地域に分けてみると、『北海道』『近畿』など8地域が悪化、『四国』と『北関東』の2地域が改善した。都道府県別では27都道府県が悪化、19府県が改善。観光需要が伸び悩んだことに加え、季節需要や公共工事の低迷が一部の地域経済で下押し要因となった。 なかでも、『北海道』は5カ月ぶりに悪化。「日胆」「道東」エリアがともに2ポイント以上下落した。旅行客が伸び悩んだことに加えて、「来客数と売上額の減少」などの声もあがる『小売』が全体を大幅に下押しすることにつながった。 国内景気は、季節需要の低迷や節約志向の高まりが下押しし、上向き傾向が一服した。