【渋沢栄一のひ孫が提言】私たちが暮らしに不安を感じる2つの理由、問題解決に必要なことは?
地球上の自然の成長量とは、図1グラフ内「バイオキャパシティ」という線の部分です。例えば、お米が実った、木が大きくなった、動物や魚が子どもを産んだ、バクテリアが分裂して増えたといった、地球上の生きとし生けるものすべての成長量を数値化したものです。自然の成長量とは、自然が人類に与えてくれる“利息”のようなものです。 このグラフでは、自然の成長量のうち人間という1種類の動物による消費量が表されています。1960年の段階では、人間が自然の成長量の約半分を使い、あとの半分を他の生き物が使っていました。 しかし、最新の2019年時点のデータでは、人間が地球1.75個分の自然の成長量を使っている、とされています(図2)。もちろん、地球は1つしかありませんから、これは自然の利息を人類だけですべて使い、自然の利息だけでは足りずに自然の“元金”に手をつけている状況なのです。さらには、地球上の約80億人(2022年時点)の人間すべてが、今の日本人と同じような生活を行ったら、地球約3個分の成長量が必要だというデータも示されています。
ここで言う「成長量を“使う”」という言葉には2つの意味があります。 1つは食料を食べたり、木の伐採をしたりすること。もう1つは、私たちの廃棄物を分解し、自然のサイクルに戻すこと。そのためには、バクテリアなど色々な要素の関与と、そのためのエネルギーが必要になってきます。この実際的な消費量と、廃棄物を自然のサイクルに戻すための消費量が1対1だということは、すでに科学的に証明されています。 ● 地球に残された石油資源は 富士山1杯分にも満たない? エコロジカル・フットプリントをもう少しよく見ると、何が一番地球に負荷をかけているかがはっきりわかります。もっとも多いのが「カーボン・フットプリント」と言われている部分です。これは資源を調達し、製品を生産し、廃棄するまでの全工程で使用された炭素(温室効果ガス)の総量を可視化したものです。 あらゆる製品は生産から廃棄・リサイクルに至るまでの過程でたくさんのエネルギーが必要となります。そのエネルギーは、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料から得られるものですが、それもまた無限ではありません。 原油の残量は、すでに2662億立方メートルしかないとされています。これは期待埋蔵量(これから新たに見つかるであろう石油)までが含まれた数値です。