【缶詰には人情も詰まっている】閉店した人気店の缶詰を復活させたのは「明太子で知られる」あの会社でした<福岡・中央区>
■復活したボルシチ缶をアウトドアで開ける
ここで場面は現在に戻る。ツンドラのボルシチ缶は、ふくやによって復活を果たしたのだが、その中身は一体どんなものなのか? ボルシチといえばスープ料理。スープ料理といえばアウトドアだ。それも寒い季節にあえて外で食べれば、そのおいしさは10割増しになること間違いない(個人的な感想です)。 ということで、ボルシチ缶とクッカー類を持って八ヶ岳山麓まで出かけた。このところ、秋らしからぬ暖かい日が続いていたのに、午後から気温がぐんぐん下がっていき、夕方には約5℃まで下がった。震える手で缶を開けると、スープに含まれる脂分が塊になって浮いている。
■水を加えれば2人分の容量
この缶詰は内容量が450gあり、パッケージには「鍋にあけて水100mlを加えて温めれば2人分になる」と書いてある。その手順通りに、クッカーに水と缶の中身を入れる。 かつてツンドラの店舗で提供されていたボルシチは、具が大きいのがウリだったが、この缶詰の具もかなり大きい。クッカーに移し入れるときに「ドボンドボン」という音を立てるほどだ。料理中の音には「コトコト」とか「ジューッ」とかいろいろあるけど、「ドボン」というのはじつに頼もしい音である。
■中身が焦げつかないように気を配る
アルコールストーブに点火して、ボルシチを入れたクッカーを乗せ、いよいよ加熱開始! 固まっていた脂分はすぐに溶けて細かな泡になり、やがて表面がふつふつと煮立ってきた。アルコールストーブの火力は意外と強いので、中身が焦げつかないように、時々スプーンで全体をかき混ぜる。それでも火力が強すぎると感じたら、一旦クッカーを持ち上げ、火元から離すのも手である。 具を崩さないようにそっとかき混ぜていると、じわりと幸せな気持ちが湧き上がってきた。ぼくがアウトドアでもっとも好きな作業が、こうしてスープ料理を温めることなのだ。今回はたまたまアルコールストーブを使ったけど、焚き火で温めるのも幸せ度が高い。いずれにしろ熱源は何でもいい。のんびり、無心になって温めている時間がとても楽しいのだ。