引退する祖父と跡継ぐ孫 3世代でつなぐ祭礼の大鳥毛回し/京都・福知山市の大江八朔祭り
京都府福知山市大江町二俣地区で、大鳥毛を奴(やっこ)が投げ渡す「八朔祭り」が1日に開かれた。350年以上続く神事で、今年は奴に神社(かんじゃ)大和さん(22)が新たに加入。長年務める祖父の貞美さん(70)、父の正悟さん(45)らとともに、大鳥毛回しを奉納した。貞美さんは今年限りで奴を引退。最初で最後の親子3世代での投げ渡しが実現した。 古希を迎えた貞美さんは、奴の人数が近年は安定していること、そして神戸市外国語大学4年の大和さんが、今回初めて奴を引き受け、今後もできる限り続ける意思があることを確認し、引退を決意したという。 一方の大和さんは、祖父や父から所作などを教わり、当日を迎えた。最初の投げ渡しは、元伊勢外宮豊受大神社での奉納。長さ約3メートル、重さ約15キロの大鳥毛が貞美さんから投げ渡され、大和さんは「奴の重責を託す」という思いとともに、しっかり受け取った。 このあと太鼓、笛の演奏が鳴り響くなか、神社さん親子3世代を含む奴9人の行列が、住民ら約50人と地区内を練り歩いた。また猿田彦神社や岡荒神社など9カ所でも、鳥毛回しを見せた。 貞美さんは「大和は思ったより、所作がよくできていました。『自分は辞めるけど、これからよろしくな』と伝えました」と、ほっとした様子。大和さんは「緊張したけど、祖父らに褒めてもらえて、うれしかった」と喜んでいた。 八朔祭りは、八朔祭礼保存会(岡野天明会長)と地元3自治会が主催。江戸時代の明暦4年(1658)に夏の大干ばつがあり、雨ごいをしたところ大蛇が現れて雨が降ったことから、奉賛として練り込みの神事が始まったとされる。