第94回選抜高校野球 九国大付、春の吉報 悲願の優勝へ決意新た(その1) /福岡
<センバツ甲子園> 28日に開かれた第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会で、県内からは九国大付(北九州市八幡東区)が選出された。センバツ出場は11年ぶり3回目、甲子園出場は春夏合わせて10回目となる。吉報が届くと学校は喜びに包まれ、選手たちは悲願の優勝に向けて気を引き締めていた。大会は3月4日に組み合わせ抽選会があり、同18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【浅野翔太郎、宮城裕也】 ◇「一生懸命頑張った証し」 午後3時50分、選考委員会からの電話が鳴ると、西元孝幸校長は「学校を代表し、ありがたくお受けします」と応答した。 その後、グラウンドで吉報を待つ野球部員約45人のもとに駆けつけ、「一足早い春がやってきた。一生懸命頑張った証しがこのような形になった」と選手たちにエールを送った。野田海人主将(2年)は「絶対に優勝旗を持ってくる」と誓い、選手たちはガッツポーズをしたり野球帽を上に投げたりして喜びを爆発させた。 公式戦でチーム最多5本塁打と強力打線を引っ張る主砲・佐倉侠史朗(きょうしろう)選手(1年)は「目標が一つかなったので次は優勝を目指したい。本塁打は意識するが、チームの期待に応える打撃をしたい」と意欲を見せた。楠城(くすき)徹監督は「佐倉など見ていて楽しいタレントがいるチーム。個々が高校トップレベルのものを持っていて、甲子園の舞台でどう表現できるか楽しみ」と期待を抱く。 強打者がそろう打線はチームの大きな特徴だが、楠城監督が持ち味に挙げるのはバッテリーを中心とした守備力。公式戦14試合中11試合に登板し防御率1点台のエース左腕、香西(こうざい)一希投手(2年)は、試合後半になると上体で投げがちな課題を克服しようと、冬場は下半身強化に力を入れた。「疲れてきても下半身を意識できるようになってきた」と、自身の成長に手応えを感じている。「マウンドに立っているときは誰にも譲りたくない。チームをしっかり意識して、先輩の準優勝の記録を超えたい」と、頂点への意気込みを語った。 捕手であり香西投手との二枚看板の期待もかかる右腕の野田主将も「香西が試合の展開をうまく作ってくれるので、自分のマウンドで崩れることのないようにしたい。甲子園までに打撃も守備も両方注目されるチームにしたい」と早くも大舞台を見据えていた。 楠城監督は「全国の高いレベルは選手層が厚くないと勝てない」と課題を挙げる。個々の高い能力の「点」を「線」に――。2カ月弱、チーム全体の底上げが、全国制覇の鍵を握る。 〔北九州版〕