20代キャバ嬢と「清い交際」して1000万円以上貢いだ60代男性、彼氏がいることがわかり「結婚詐欺で訴えたい」
●貢いだ1000万円は返してもらえる?
――結婚詐欺に当たらないとしても、男性はこれまで女性に貢いできた1000万円を何らかの手段で返してもらうことは可能でしょうか。 男性が1000万円を返してもらえるかは民事事件の話となります。この点、貢いだ1000万円は一般的には「贈与」という契約の一種に該当し、いわゆるプレゼントと同じで女性側に返還する法的義務はないことになります。 他方、騙されて1000万円を支払ったと言える場合は民事上の「詐欺」(民法96条1項)となり、贈与という「契約」を取り消すことができ、その結果、贈与という契約が最初から無効だったことになるため(民法121条)、男性側が返還請求(不当利得返還請求)をすることができうることになります。 また、女性側の行為が不法行為であるとして、不法行為に基づく損害賠償請求をすることも考えられます。 しかしながら、民事上の詐欺も刑事事件の詐欺と同じように騙す行為によって相手を騙して金銭等を払わせようとする意思があったことが必要であり、最初から騙して金銭を支払わせようとしたという内心を立証できない限り、民事訴訟で「詐欺」と裁判所に認めてもらうことは難しいと言えるでしょう。 本件では、確かに交付した1000万円は高額な金額と言えますが、女性と知り合ったのがキャバクラであって、結婚相談所など結婚を前提とした場で知り合ったものではないこと、当初、男性が女性に対して「店ではなく外で会ってほしい」などと積極的に誘っており女性側から来ている話ではないこと、などからすれば、不法行為での請求も含め、男性側の1000万円の返還請求が裁判上で認められることは難しいのではと思われます。 【プロフィール】 澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士 東京弁護士会所属。2003年弁護士登録。2010年に新宿(東京)キーウェスト法律事務所を設立後、離婚、男女問題、相続などを中心に取り扱い、2024年2月から現在の法律事務所でパートナー弁護士として勤務。自身がApple製品全般を好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。ご相談のご予約は、web上のカレンダーで空き状況をご確認いただきつつweb上で完結することができます。 事務所名:向陽法律事務所 事務所URL:https://www.keywest-law.com