スポーツ合宿地に富士山麓・小山町人気 準高地トレーニング、五輪選手も注目 助成制度後押し、宿泊施設協力
富士山麓で準高地トレーニングが可能な小山町が、スポーツ合宿の適地として人気を高めている。町が2022年11月から展開している合宿誘致促進に向けた助成制度が後押しとなり、コロナ禍後の合宿者数は目に見えて増加。宿泊施設も環境づくりに協力し、町一体でPRを推し進める。 「心肺的に高負荷を掛けられる。けがのリスクを抑えた質の高い練習ができる環境が整っている」。パリ五輪陸上競技3000メートル障害で8位入賞を果たした三浦龍司選手(22)=SUBARU=は10月下旬、同町で6日間の合宿を行った。首都圏から近い、陸上競技場など周辺の練習施設へのアクセスが良い、富士山の景色で気分転換できる-など多彩な要素もかみ合う同町での合宿の魅力を語る。 練習の一部は同町の旧ゴルフ場を整備した芝生のクロスカントリーコースで実施。提供したのは宿泊先の富士ざくらホテルだ。地主から土地を借り、芝を刈って合宿者らに貸している。競技者用の食事やジム設備なども充実させ、23年はオリンピアン、駅伝強豪チームなど延べ約7千人の合宿を受け入れた。24年は約9千人を見込む。運営会社の小沢健男社長(67)は「その他の宿泊施設も支援体制を整えている。パイを奪い合うのではなく、地域として面でパイを広げていくことが重要」と指摘する。 町の助成制度はスポーツ合宿の宿泊費を1人1泊2千円補助する。同じ団体が年度内に何度も申請でき、分宿や町外での練習も認める使いやすい制度設計が奏功し、23年度は陸上競技団体や少年野球団など静岡県内外の143団体、延べ7372人が助成を受けた。24年度は4~8月に昨年同期比4割増の延べ5230人が利用している。町商工観光課の湯山浩二課長は「効果は着実に現れている。地域活性化や住民のスポーツマインドの醸成につなげる施策も重要になる」と話す。
静岡新聞社