【多部未華子さん】小説『ツバキ文具店』の朗読に挑戦! Audibleは「子どもより早く起きて朝時間にじっくり聴きたい」
『ツバキ文具店』は自分の生き方を肯定してくれるような、あたたかい作品
多部さんが試行錯誤されたように、『ツバキ文具店』では、たくさんの魅力的な人物が登場します。朗読していて、楽しかったキャラクターはいますか? 「男爵は男性ならではの難しさもありましたが、きつい言葉の中にも愛があったり、サバサバしたそっけないセリフの裏を読んだり。毎回男爵の本当の思いを考えながら、それを声にのせて伝えるのは、大変ですがおもしろかったですね。 バーバラ婦人はゆったり、おっとりとしてやさしくて。年齢を重ねたからこそ滲み出る、懐の深さみたいなものを声で表現するのも楽しかったです」 ドラマ化された際には、主人公の鳩子役を演じた多部さん。「思い入れのある作品」ということですが、作品の魅力をあらためて教えてください。 「鳩子自身もいろいろな過去を背負っていて、ツバキ文具店に代書依頼をしてくる登場人物たちの経験に歩み寄ったり、時には反発したり。大きな事件は起こらないけれど、代書屋の仕事をしながら鳩子がなんてことない毎日をすごす中で、自分の持っている後悔やネガティブな感情は必要なことだったんだ、これでよかったんだ、と思わせてくれるんですよね。 自分自身の生き方を肯定してくれるような、あたたかい気持ちになれる。ほのぼのとした中にもとてもメッセージ性がある、素敵な作品だなと何度読んでも思います。 Audibleで聴いていただく際も、テーブルにすわって一息ついて、ゆっくり聴いてもらえたらうれしいですね。」
出産してからじっくり本を読む時間が取れなくて…
家事、育児、仕事と毎日多忙なLEE読者からは、本を読む時間を取ったり、特に小説の世界に没入するのが難しいという声も。読書家で知られる多部さんはどんなときに本を読んでいますか? 「私もまったく同じです。私のことを言っているのかと思いました(笑)。出産してからはじっくり本を読む時間が本当に取れなくて……。子どもに絵本などの読み聞かせはするのですが、なかなか自分が読みたい本にまでたどり着けないんですよね。 でも最近、子どもに積極的に本を読んでほしいと思ったら、私が読んでいる姿を見せないとダメだなと実感していて。ちょうどこれから、本を読もうと思っています!」 読みたい本や、購入して待機させている本などはありますか? 「外山薫さんの『君の背中に見た夢は』は気になっていて、読みたいなと思っています。子供の受験がテーマとのことで、親心として共感できるところがありそうだなと。最近は特に、家族や母子の話など、自分の状況と近いテーマの作品が感情移入しやすくて、今の私の生活リズムに合っているんだろうなと思います。 少し前には、Audibleにもある『母という呪縛 娘という牢獄』という作品を読んで、実際にこのような事件があったんだ、とすごく考えさせられました」