シナーが38年ぶりに失セット0でATPファイナルズ初制覇「テニスコートで過ごした最も特別な1週間」[Nitto ATPファイナルズ]【テニス】
シナーが55年の歴史の中で初めてのイタリア人優勝者に
男子ツアー最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(イタリア・トリノ)大会最終日となった現地11月17日、シングルス決勝が行われ、世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア)が、テイラー・フリッツ(アメリカ/同5位)を6-4、6-4で下し、イタリア人選手で初優勝を果たした。 【動画】シナーがATPファイナルズ初優勝!マッチハイライト ツアー最終戦初出場だった昨年は、決勝で当時世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に惜しくも敗れて準優勝だった23歳のシナー。今年は全豪オープンと全米オープンのグランドスラムを含めて7度のタイトルを獲得し、世界1位となって母国イタリアに帰ってきた。 10月のATPマスターズ1000上海以来、1ヵ月ぶりの試合となった今大会では、予選ラウンド3連勝を飾ってベスト4入りを果たすと、準決勝ではキャスパー・ルード(ノルウェー/同7位)に6-1、6-2と完勝。2年連続で決勝に進んだ。 初タイトルをかけて戦ったのは、予選ラウンド第2戦で対決し6-4、6-4で下しているフリッツ。全米オープン決勝でも破っている相手に対し、この日も各セット1度ずつブレークしてストレート勝ち。最高の形でシーズンを締めくくった。 大会を通じてセットを失うことなく優勝を飾ったシナー。これは1986年のイワン・レンドル以来、38年ぶりのこと。また、同大会55年の歴史で初めてのイタリア人チャンピオンである。 試合後、「とても質の高い1週間だった。初めはコートのペースを理解しようとしていて、少しずつペースが上がった。その時点で可能な限り最高のテニスをしようと心がけ、それができた。観客も後押ししてくれたし、テニスコートで過ごした最も特別な1週間だった。このトロフィーを手にできてうれしい」と喜んだシナー。 シーズン成績で70勝6敗、8度のタイトル獲得と文句のつけようのない結果を残した。だが、「まだ改善の余地がある。今日はサーブが良かったけど、大会を通して良かったわけではない。レベルが上がれば上がるほど、細かい部分が違いを生むんだ。何でも一番になりたいわけではなく、常に選手として向上しようと頑張り、何をもっとうまくできるかを考えている」と現時点よりも少しでも上達したいと語った。 また、今大会後には自己最高となる4位を記録するフリッツは、「僕にとって素晴らしい1週間で、1年を締めくくるにはよかった。今週はデビスカップがあるし、オフシーズンに向けて自分が改善すべき点がわかった。レベルが上がったと感じているし、プレーに自信が持てるようになった」とポジティブ。リターン時の一歩目の速さと、ボールチェンジ間際におけるバックハンドのパワー不足を解消したいとした。
Tennis Classic 編集部