“ととのう”ための12分計を搭載 カシオのサウナ用「サ時計」体験会レポート
カシオが開発したサウナ用ウオッチ「サ時計」が大きな話題を集めている。2024年12月2日正午より開始した「サ時計」のクラウドファンディングが、開始から9分で上限数量の計2300本に達し早々に支援募集が終了となったのだ。 【写真】サウナ用ウオッチ「サ時計」 耐熱温度は220度 今回のクラウドファンディングは、市場性を確認する試験販売という特性上、数量の追加はなく、一般販売も今後の検討事項となり現時点では未定。という状況の中で、当初より予定されていた「サ時計」のメディア向け体験会が、12月9日に黄金湯にて開かれた。日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のメンバーズであり、「サ時計」が購入できず涙を呑んだ筆者が「サ時計」の使い心地をレポートしていく。 まず、体験会の前に黄金湯の2階にあるコガネキッチンにて、山田真司氏をリーダーとしたカシオ計算機「Teamサ」メンバーによる「サ時計」の特徴と開発経緯の説明会があった。 今回の「サ時計」は、カシオオリジナルモデルの2色(各色1000本)とサウナイキタイモデル(300本)の3バリエーションを展開している。その特徴は大きく3つ。まずは、耐熱だ。ケース素材には、PPSと呼ばれる低透湿樹脂を使用。自動車のエンジンルームなどに持ちいられる樹脂で、樹脂そのものの耐熱温度としては220度まで耐えられるという。さらに耐熱電池を採用することで、設定温度100℃以下のサウナ(腕に着用した状態で15分以内の使用)という条件下で問題なく使用することができる「サ時計」が完成した。なお、防水性能は5気圧防水、電池寿命は約5年でカシオのサービスでのみ電池交換が可能となる。 2つ目と3つ目の特徴は、体験レポートの方で詳しく後述するが、通常モード(時・分の時刻表示)とサウナモード(12分計)を行き来できること、さらにサウナ施設のキーバンドのようなシンプルなデザインということだ。 3年前に山田氏が社内で提案したことをきっかけに、若者のサウナー向けに商品化を目指し制作していった今回の「サ時計」。今後の展開としては山田氏は、「110~120℃のサウナにも対応できるように、改めて技術検証を進めていけたらと思っているような状況」と話し、9分で上限に達したニーズを踏まえて、「社内で前向きに一般販売や第2弾の検討を進めている段階」と明かしている。なお、説明会には、サウナーにはお馴染みのサウナ大好き芸人・マグ万平が登場し、12分計よりも短い“10分”という持ち時間の中でサウナの魅力を伝えていった。 「サ時計」を腕につけ、水着に着替えて、シャワーを浴び、いよいよサウナ室へ。そこで最初にするのが、「サ時計」の12分計のセットだ。「サ時計」の上部には「MODE」と「RESET」の2つのボタンがあり、先述した通常モードとサウナモードを切り替えることができる。筆者はサウナー御用達の某メーカーのスマートウオッチをはめて、よくサウナに入っているが、タイマーを表示するまでいくつかの操作が必要だったり、そのまま通常の時計を表示していても何分からサウナに入っていたのかを覚えておかなければならず、それが邪念になってきてしまうのだが、「サ時計」の直感的でシンプルな操作は、ストレスフリーでサウナ自体に集中することができた。さらに驚くのが、12分計で計測しつつ、もう一度「MODE」を押すと通常の時計に戻り、裏では12分計の計測が続いているということ。筆者は12分以上、サ室に入り続けていたが、針は一周してそのまま12分以降を計測し続けていた。 水風呂で何分入っているか計測する機会はそこまでない印象だが、外気浴は気がつけばととのい椅子で長時間寝てしまっていたということもしばしば。「RESET」を押せば、針はもう一度てっぺんから計測を始めてくれるので、気軽な12分計が手元にあるという感覚を作り出してくれる。また、つけ心地は最初は筆者には少し緩いかなという印象だったが、時間が経つにつれストレスフリーを最大限に考慮した設計であり、誰にでもつけられるカールバンドなのだという理解へと変わっていった。シンプルなデザインながら、「3」が「サ」の文字になっているところも、サウナーの心をくすぐるポイントである。さらに言えば、筆者は先述した某メーカーのスマートウオッチをサウナで使い続けた結果、1台壊してしまっている。「壊れてしまうかも」という不安が解消されることはサウナを楽しむ上でも大きな利点と言えよう。 「サ時計」について、同じく体験会に参加していたほか記者からも「絶対にほしい」という声が多く上がっていた(とといの椅子に座りながら)。現在、黄金湯をはじめとする全国12の施設で「サウナの時間」と題した「サ時計」体験会を1月30日まで実施中。山田氏は体験会の目的について、「サ時計」の発送が2025年6月頃と少し先になってしまうため、「一般のお客さんにもフィードバックをもらいながら、いろいろと触ってもらいたい」と話していた。サウナーの声が「サ時計」のさらなる開発に生かされていくかもしれない。 ちなみに、取材のラストにはコガネキッチンでサ飯を体験することができ、筆者は「ラムラムキーマ」と「オロポ」のセットを選択。食べながら、取材ということを忘れ、半分ととのってしまっていた。それもストレスフリーな「サ時計」のおかげ、ということにしておこう。
渡辺彰浩