「ようやく妻が死んでくれた」と動画配信した67歳のひとり暮らし 今の自由は「妻と過ごした時間があってこそ」
しかし、実際はその真逆だった。 「妻が亡くなったあとは、本当に何もできませんでした。料理を作る気力も、掃除をする気力もない。ただ、毎日どうにか生きているだけで精一杯のありさま。どれくらいそうだったのか、もう覚えてないくらい……」 妻の死は突然だった。 「妻の晩年を考えると、最期まで明るい人だったなと思うんです。アイロンをかけたり、僕のためにご飯を作ったり、犬を育てたり。そんな日々のなかで、実は彼女の心臓は病に蝕まれていた。
僕の健康に気づかってばかりいたけれど、自分のことには無頓着なところがあったのかもしれません。 彼女の最期の1年間が『晩年』だったと気付いたとき、もっと楽しいことを一緒にしてあげればよかったと後悔しました。でも亡くなってしまってしばらく経つと、後悔以上に、妻が日々もたらしてくれていた幸せに、感謝の気持ちが湧いてきたんです」 その後、少しでも心が動くことをしようと始めたのが料理。さらに料理を作っているところや、それをつまみに酒を飲んでいるところを動画にしてみようと考えた。
「最初は本当に小さな一歩でした。料理をしてみよう、酒を飲んでみよう。我が家は一緒に食べたり飲んだりすることが大好きでしたから。 妻の残してくれたレシピのノートを見ながら、自分なりに料理を始めました。妻の味を再現できたらうれしいし、新しいレシピに挑戦したら妻に報告できることが増えます。そのうち、それを誰かに見てもらえたら面白いかなと思って動画配信を始めたんです」 「好きなことで生きる」という選択は、動けなかった彼を救った。
「人はね、楽しいこと、好きなことを見つけないと本当に動けないんです。愛する人を失った悲しみって、動く気力を全部奪っていく。 だからこそ、好きなことで少しでも心を動かして、体をそこに追いつかせる。それが僕にとっては料理や酒だったわけで、誰にでもそういうものがあると思います」 ■老後のお金と人生の選択肢 ぺこりーのさんのYouTubeチャンネルで、最も反響が大きいのは老後のお金に関する投稿。「どうやって生計を立てているのか」「老後の生活が不安」という視聴者からのコメントが後を絶たないそうだ。