真田広之「SHOGUN 将軍」がハリウッドに与えた変化。本作の日本人プロデューサーに話を聞いた
アメリカのテレビ界のアカデミー賞と呼ばれる『第76回エミー賞』を総なめにし、現地および日本で大きな話題を呼んだディズニープラスのオリジナルドラマ『SHOGUN 将軍』。そのプロデューサーの1人であり、長年にわたって日本とハリウッドの懸け橋となって活動してきた宮川絵里子氏のもとにはいま、さまざまなオファーが舞い込んでいる。 本作の成功によって、ハリウッドにおける日本人俳優、プロデューサー、日本コンテンツへの視線は変わった。それを肌で感じながら続編となるシーズン2の製作に入る直前の宮川氏に、ハリウッドおよび世界からの日本文化への追い風について聞いた。 【写真】「SHOGUN 将軍」の場面カットと、プロデューサーの1人である宮川さん
■閉ざされていたハリウッドの扉を開いた ――『第76回エミー賞』主要部門を含む史上最多18部門制覇。日本人受賞者も史上最多9人となる歴史的な快挙は、日本でも大きな話題になりました。そんな本作の製作に宮川さんがどう携わってきたのか教えてください。 ディズニー傘下のケーブルテレビ局・FXのジョン・ランドグラフCEOと彼の右腕のジーナ・バリアンが、11年ほど前から原作の映像化権を得ようと厳しい競争のなかで動いていました。取得後もプロダクションの問題など紆余曲折があったのですが、原作への強い思い入れがあり、2016年にようやくプロジェクトが始動しました。
その過程で、ハリウッドで活動していた日本人プロデューサーであり、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』に10年以上携わっていたこともあって、声をかけていただきました。 本作の製作において、ジョンとジーナは原作の持つ魅力をそのまま映像化することを掲げました。壮大なスケールでありながら、当時のロマンスから暴力、道徳観、性的表現まですべてを映し出す、“本物のドラマ”を目指していました。 そのなかで、私は日本人から見ても違和感のない脚本にするための助言やキャスティングの一部を担いました。また、撮影のメインはロンドンだったのですが、日本でのロケを取り入れたりもしました。