「親子や夫婦関係がギスギスしたときは」口コミで全国に広がった講演「命の参観日」でシンガーソングライター・玉城ちはるが伝えたいこと
シンガーソングライターとして活躍する玉城ちはるさんは36人もの子を送り出したホストマザーとしての経験を活かして全国の小中学校・高校・大学で「命の参観日」という講演を行っています。口コミで全国に広がり各所で反響をもたらしている話題の講演についてお話を伺いました。(全4回中の3回) 【写真】全国に広がる「命の参観日」その模様をチラッとご紹介(全14枚)
■「他者理解」は今の子どもたちにとって命に直結する課題 ──「命の参観日」の講演を始めたきっかけを教えてください。 玉城さん:10年にわたって36名のさまざまな留学生や日本人と共同生活をした経験を活かし、現在、広島にある安田女子大学で、多文化共生をテーマに非常勤講師をしています。行政のお仕事で、人権週間のイベントでお話をしていたときに、とある小学校の校長先生から依頼を受けたことがきっかけでした。
「玉城さんが話される『多文化共生』というのは単に国際交流の話ではなく『自分とは違う人を排除しないでひとつ屋根の下でどう共に生きるか』というお話ですよね。今の子どもたちのなかには仲間外れなどで他者を排除したり、それが原因で不登校や引きこもりになる子がいます。そういう子たちにとって他者理解というのは命に直結する課題なので、小学校1年生でもわかるように他者理解と多文化共生について話せませんか?」とお声がけいただきました。そして始めたのが「命の参観日」でした。
── そこから次第に口コミが広がり、現在までに150校以上の全国の小中学校・高校・大学で講演しているそうですね。さらに日本を飛び出しアジアの各国にも訪れたとか。どのような講演なのですか? 玉城さん:大きく3つのテーマにわけてお話ししています。まず1つ目が「他者理解」です。異文化の者同士はもちろん、同じ日本人同士でも、話し合わないとわからないことがある。親子、親友といった近い関係でも話し合いは大事ということ。
そして2つ目は「みずからが動きだせることは大切」ということ。今ヤングケアラーとして頑張っている子や生きづらさを抱えている子たちも多くいます。「助けてくれる人がいるんだ」と信じて助けを求めて動き出すことが大切ということを伝えたい。かつて10代のころの私は、精神疾患の父と暮らすなかでつらい気持ちを抱えていました。そのとき「自分の大切な時間やお金を使って他人を助ける人はいない」と思っていました。でも、今は「誰かに助けてもらえる」と信じられるようになった。なぜなら「自分が人を助けている」から。こんな自分でもできていることなんだと思うと希望が湧きますよね。