「親子や夫婦関係がギスギスしたときは」口コミで全国に広がった講演「命の参観日」でシンガーソングライター・玉城ちはるが伝えたいこと
玉城さん:ゲームをしたら必ず「家に帰ったらあなたが玉城ちはるになって家族とやってみてね」と言うことにしています。ある中学生の女の子が、後日LINEをくれました。お父さんと受験のことでケンカをして半年間、口をきいておらず、そんなお父さんと「やさしさ貯金ゲーム」をしたそうなんです。「手をつないで半年ぶりに父と会話をしました。受験の話もして最後に見つめ合ってありがとう・ごめんね・大好き!と言ったらお父さんが泣きました」と。私はそれを聞いて嬉しくて泣きました。お父さんも嬉しかっただろうなって。
親子でも理解し合うのは難しいんです。中学生以上の思春期に入ると特に難しい。子どもたちも、親御さんも同じ気持ちです。でもそれは普通のことなんです。「親子だからわかると思っていたけど」とか「どうして娘のことがわかってあげられないんだろう、と思い悩んでいた」という方たちから、ゲームを通して「気持ちが楽になりました」という声は本当によくいただきます。 ── お子さんも親御さんも「玉城さんから『おうちでやってみて』と言われた」と言えば実践しやすいですね。
玉城さん:そうなんです。実はそれを言うようにしたきっかけがあって。講演のあと「家でやってみた」という80代の方からお手紙をいただいたのですが、家に帰って夫の手を取り「ありがとう・ごめんなさい・大好き」とやってみたら、「どうしたんや。お前、死ぬんか?」と言われたと(笑)。確かに、突然家族が普段しないことをやると驚いちゃいますからね(笑)。それ以降、「今日はこういうのを玉城ちはるさんに習って『やりなさいと言われたからやるんだ』って、ひと言相手に伝えてね」と講演のときに言うことにしました。誰かに言われたからやってみようって言えば、ハードルも下がるんじゃないかなと思います。
── 玉城さんはご家庭でもやってらっしゃるのですか? 玉城さん:私たち夫婦もケンカしたりギスギスしたりするとよくやるんです。夫が怒ると娘が「パパ、ママと、やさしさ貯金ゲームしよ」と無理やり手をつながせることがあるんですけど、私が「パパ、ありがとう・ごめんなさい・大好き!なんで怒ってるのぉ?」って言う。夫は手を払おうとしたり、「そうやって君はうやむやにする!」と言われたりもしますけど、なんだかんだしつこくじゃれ合っているうちに解決するんです。不思議と(笑)。