「ベルリンの壁」崩壊とセダンの衰退、クーペ化にミニバン台頭 混乱する欧州車
モデル乱立が倒産原因にも
こうした様々な要因が錯綜して、非常に混乱した状態にあるのが今の欧州車マーケットだ。旧来的プロトコルと現実の事情のすり合わせが上手くいかず、かと言って日本の様にプロトコルをゴミ箱に放り込むほど無頓着ではいられない欧州の悩みがそこにはある。歴史を紐解くと「モデルの乱立による効率の悪化」は自動車メーカーの倒産原因として非常にポピュラーなので、現在の欧州メーカーの動向に筆者はちょっと危惧を覚えている。そうならないうちに混乱を収拾して欲しい。 こうして俯瞰的に眺めてみると、長年中心にあったセダンの求心力が薄れたことが車種バリエーションを加速度的に増やすことへ繋がり、モデルの乱立がそれぞれのモデルの立ち位置を不明瞭にさせている原因だ。「欧州は自動車先進国」だという考え方は今でも日本で根強い。「日本のメーカーと違ってモデルライン構築が思想性に裏打ちされていて合理的である」という物言いもずいぶん聞いた。が、これまで述べて来たように、少なくとも今はそういう状態では無い。 次回はセダンに代わって主流になりつつある欧州ミニバンについて考えてみたい。 (池田直渡・モータージャーナル)