DVに追い詰められた母子が頼った「上品な女性」の驚くべき本性 母は5歳児をなぜ虐待死させ、床下に埋めたのか
歩夢ちゃんの保育園や携帯電話の費用など、必要なお金はその都度、あおいが母親に渡していた。 一方で、あおいは歩夢ちゃんに体罰を加えるようになった。「しつけ」と称する暴行を、母親にも指示した。「逆らえば家を追い出される」と考え、息子を暴行した。 ▽エスカレートする暴行の末路 暴行は次第にエスカレートしていった。男が歩夢ちゃんの両足を逆さづりにして振り回す。プラスチック製のタンクや猫用のゲージに閉じ込める。タンクを外からたたくこともあった。いずれも、あおいは「しつけ」として効果があると話していた。相撲と称して、歩夢ちゃんを投げ倒すこともあった。 2022年1月18日、仕事中の母親にあおいから連絡があった。 「歩夢がお漏らしをしたままご飯を食べている。帰ってきて厳しく叱って」 急いで戻った母親に対し、あおいは「相撲取ったら」などと指示。母親は息子に足をかけ、柔道の大外刈りのように複数回投げ倒した。さらに、男が両脇をつかんで体を持ち上げ、勢いを付けて背中を畳にたたきつけた。
歩夢ちゃんはうめき声をあげ、呼吸がしづらいような様子に。「もうやめて」と言って救急車を呼ぼうとする母親に、あおいはこう告げた。 「どう説明するのか。医者が診れば、虐待が疑われる」 119番を断念した母親の腕の中で、歩夢ちゃんは息を引き取った。遺体を前に、あおいは「警察にばれれば、遺骨は夫に渡る」と、暗に埋めるよう指示。 あおいの言葉を信じた母親は、骨を渡したくない一心で息子を住宅の床下に埋めることにした。約5時間かけて穴を掘り、歩夢ちゃんが好きだったおもちゃやお菓子も遺体とともに埋めた。最後に、堆肥をつくるために売られている「発酵を促す薬剤」を、あおいの指示で遺体にかけた。 ▽明かされるあおいの嘘 事件は今年1月、母親が歩夢ちゃんの退園届を本庄市に出したことがきっかけで判明する。母親は「実家の大阪にいる」と説明していたが、大阪の実家では所在が確認できなかった。本庄市から相談を受けた警察が調べ、3月5日、床下から遺体が発見された。