DVに追い詰められた母子が頼った「上品な女性」の驚くべき本性 母は5歳児をなぜ虐待死させ、床下に埋めたのか
事件後、「あおい」が隠していたさまざまな事実が判明する。 まず、同棲する男にも本名を名乗っていなかった。年齢も56歳であるにもかかわらず男には「一歳下」と二回り近くサバを読んでいた。二人が出会ったのは、交流サイト(SNS)の「ミクシィ」。「あおい」と名乗り、男が大学を卒業後、交際を始めた。家計の管理はあおいが担当し、通帳やキャッシュカードを握った。 男は、自分の父から借金をしていた。持病である腰の治療代や引っ越し代が名目で、合計約500万円に上る。ただ、あおいはこれとは別に、男の父から約1千万円も借りていた。「(男が)暴れて部屋の壁を壊した」「近所の人とけんかになり、車を傷つけてしまった」などと嘘をつき、金を引き出していたという。 男の父は大金を渡した理由を法廷でこう説明している。「『生活全般の面倒をみている』と言われ、断りづらかった」 1千万円を渡したことを、自分の息子である男にも伝えていなかった。「借金を知られると、何をされるか分からない」というあおいの言葉を信じたためだ。
男があおいの本名と年齢、借金の存在といった真実を知ったのは、逮捕後だった。約10年もの間、だまされていたことになる。 あおいは、歩夢ちゃんの母親の口座からもカネを引き出していたようだ。預かった通帳に投資に回した形跡はなく、逮捕時は1000円しか残っていなかったという。 ▽「本当にごめんね」 凄惨な事件の詳細が明らかになった公判。裁判官らは母親に対し、なぜあおいの指示に従って息子を暴行したのか尋ねた。 「他の2人の暴力から守る意図があった」と述べ、指示に従うふりをして歩夢ちゃんがけがをしない程度にやっていたと弁解。「歩夢のお墓に行き、本当にごめんねと言いたい」と最後に述べた。 9月8日、さいたま地裁は母親に懲役10年の判決を言い渡した。判決は「身をていしてでも守るべき立場にありながら、自らの判断で虐待に加担した」と非難している。男は懲役12年を言い渡された。 一方の「あおい」は11月に懲役13年の判決を受けた。その公判では、経歴を偽って生きた「あおい」の驚くべき来歴が語られていた。
※近く続編をお届けします。