アルピーヌ、水素エンジン搭載プロトタイプを公開。WEC水素クラス参戦の序章か……F1への技術転用の可能性も示唆
アルピーヌは水素エンジンを搭載したプロトタイプマシン“Alpenglow Hy4(アルペングロウHy4)”を初公開。世界耐久選手権(WEC)第3戦が開催されているスパ・フランコルシャンでは初走行を予定している。 【ギャラリー】アルピーヌ・アルペングロウHy4 2022年のパリモーターショーで公開されたコンセプトカーをベースとしたアルペングロウHy4は、水素を燃料とするターボチャージャー付き2.0リッター直列4気筒内燃エンジンを搭載。最高出力は254kW(344PS)となっている。 現時点で水素はガスとして3つのタンクに貯蔵されているが、アルピーヌは液体貯蔵に切り替えることを計画しており、車両への統合性と燃料補給スピードが向上すると考えられる。 来月に迫る今年のル・マン24時間レースでは、このアルペングロウHy4のデモ走行が予定。年内には新しいV6エンジンを搭載した2番目の走行可能バージョンが発表されることとなっている。 親会社のルノー・グループはカーボンニュートラル化という目標を達成するため、公道車における一連の取り組みを行なっており、今回のアルペングロウHy4の発表は2027年のル・マン24時間レースで予定されている将来的な“水素クラス”に対するアルピーヌ側の興味を示すモノと言える。 アルピーヌ・モータースポーツのブルーノ・ファミン副代表は、次のように語った。 「モータースポーツの脱炭素化に積極的に取り組む一環として、水素内燃エンジンは非常に有望なソリューションだと考えている」 「我々は、水素が次世代の耐久マシンの脱炭素化に不可欠なステップになることを知っている。特によりコンパクトで高性能な液体貯蔵に切り替えることで、F1マシンにも搭載される可能性がある」 「アルペングロウのコンセプトは、それを完璧に示している。これは未来の水素エンジンを開発するための真の技術的な実験室だ」 アルペングロウHy4は、リジェが供給したLMP3カーボン・シャシーにシーケンシャル・レーシングギヤボックスを組み合わせている。アルピーヌ曰く、パフォーマンスはガソリン車と同等で、最高速度は約270km/hに達するという。 またアルペングロウHy4は、コンセプトカーよりも車内空間が拡張され2シーター化。クラッシュボックスも再設計された。外装は現在WECハイパーカークラスにアルピーヌが投入するLMDhマシン“A242”に意図的に似せたデザインとなった。 そしてアルペングロウHy4は、コンセプトカーからフロントスプリッターとリヤディフューザーが変更されて空力効率を強化。特注のミシュラン製タイヤも装着している。 アルピーヌ・デザイン・ディレクターのアントニー・ヴィランは、次のように語った。 「2022年にパリで発表されたアルピーヌ・アルペングロウのコンセプトカーから、我々はこのユニークなモノをサーキットに投入するという約束を果たすことを楽しみにしてきた。それが今、現実のモノとなった」 「アルピーヌ・アルペングロウHy4は、オリジナルのコンセプトカーが視覚的に示唆したパフォーマンスを発揮できるようになった。これはみんなが期待しているような、視覚的、音響的表現を全て兼ね備えた真のレーシングカーだ」
James Newbold