箱根駅伝だけなぜ特別? 有識者が語る、“ナイキ旋風”以降の箱根とシューズの関係
年が明けたら、1月2、3日は箱根駅伝!選手の活躍はもちろん、近年は選手がどのブランドのどんなランニングシューズを履いているかも、メディアやSNSで大きな話題を呼ぶ。箱根路の神奈川・平塚でシューズ選びのコンサルタントをしている藤原岳久FS☆ランニング代表は、ここ10年ほど選手の着用シューズをブランド別に計測・分析しており、ランニング業界ではよく知られた人物。藤原代表に、近年の各社の傾向と2025年のシューズ争いの行方を聞いた。 【画像】箱根駅伝だけなぜ特別? 有識者が語る、“ナイキ旋風”以降の箱根とシューズの関係
WWD:藤原代表は箱根駅伝の選手のシューズ動向について、「アルペン グループ マガジン」上などで毎年分析をしている。他はどういった活動をしているのか。
藤原岳久FS☆ランニング代表(以下、藤原):もともとスポーツメーカーでランニングシューズの販売員をしており、独立後は平塚で、ランニングシューズの選び方や走り方のコンサルタントをしている。YouTubeやnoteでランニング業界の動向やシューズの新製品についての発信もしているほか、スポーツシューフィッターという資格講座の講師も10年ほど務めている。
箱根の選手の着用シューズを計測し始めたのは10年ほど前から。地元である往路の3、4区と、復路の7、8区を妻と手分けして現場で見て、それ以外はテレビ中継で計測。10年前は計測している人はわれわれ以外にあまりいなかった印象だが、17年に「ナイキ(NIKE)」が“ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%”を発売し、21年に箱根での「ナイキ」着用率が95.7%を記録したあたりから、急激にシューズに着目する人が増えたように感じる。
WWD:21年の「ナイキ」厚底シューズ旋風は一般メディアでも大きく取り上げられた。まずはおさらいとして、「ナイキ」のシューズは何がすごかったのか。
藤原:「ナイキ」は速く走るという概念自体を変えた。それまでの薄底のシューズは接地感覚があって、自身の力を地面に伝えられる選手が速く走れるもの。一方、厚底のカーボンプレート入りシューズは、走り方や道具(シューズ)に対する考え方、接地感覚などが従来とは全く違うものだ。衝撃を受けた競合各社は、「ナイキ」の速く走るためのロジックを後追いで研究。まずは模倣から始め、徐々に個性あるシューズや素材の開発を進めてきた。