カルロス・ゴーン氏、日産とホンダの経営統合に冷ややかな目 「うまくいくはずがない」と断言の真意
全く見通せない展望 テスラ、中国メーカー、トヨタに「厳しい戦いを強いられる」
世界的にガソリン車→電気自動車(EV)の流れが加速し、米テスラや中国のBYDなどが確固たる地位を築く。「アメリカや中国のような市場は簡単ではない。非常に競争が激しい」という中で、日本メーカー同士の日産・ホンダ連合がライバルになれるかどうかについても懐疑的だ。 「中国の自動車メーカーは2000年代にはほとんど無関係だったが、2010年に少し存在感を増し、今では強力な勢力となった。ご存知のように、中国は今日、世界最大の自動車輸出国だ。彼らには技術があり、多くのブランドを持っている。彼らは攻勢に出ている。非常に集中している。彼らは地域社会からの支持も受けている。そして、もう1つの勢力、つまりテスラのようなハイテク企業も成長している。最新の統計では、テスラは自動車産業の旧資本の50%以上を占めている」 ホンダと経営統合を果たしても、これらの牙城を崩していくのは容易ではないとの考えを強調し、「ホンダは日産よりはるかに強力ですが、それでもこの業界を発展させる力にはなっていない。間違いなく、中国企業、テスラのような企業、そして明らかにはるかに説得力のある方法でこれらの課題に直面しているトヨタに対して厳しい戦いを強いられるでしょう」と続けた。 会見の終盤には、司会から「個人的に東京で車を買いたいと思っているけど、お勧めはありますか?」との質問を受けた。 ゴーン氏は「今は選択肢がたくさんあります。どのように車を使うかによって個人的なお勧めは異なります。しかし、日産のパトロール(大型高級SUV)は素晴らしい車です。私は今でも使っています。これは私がエンジニアリングを監督した車で、特に中東向けに開発しました。つまり、それほど素晴らしいわけではない会社でも、素晴らしい車を持つことができるのです。そうです、私のお勧めは、4輪駆動車が欲しいならパトロールを買うことです」と返答。 一方で、「街乗り用の車が欲しいだけなら、おそらく日本で一番安全なのはトヨタでしょう」と付け加えた。 ほとんどの時間、表情を変えずに古巣にダメ出しをしたゴーン氏だが、笑顔を見せる場面もあった。雌伏の時をへても存在感は健在で、会見後、会場からは「彼は天才だ」との声も上がった。 「最も重要なことは、ビジョンがないように見えるということ。つまり、日産が発表した計画です。ここ数年、日産が発表してきたさまざまな計画は意味をなさないし、成り立たない。個人的には、合併や提携が行われたとしても、それが成功するとは思わない」 ゴーン氏の読み通りとなるのか、それとも予測が外れる結果になるのか。両社の協議の行方に注目が集まる。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム