都道府県議会で最も厳しい規定を緩和 福井県議会議員の県事業請負制限 全会一致で政治倫理条例改正案可決
福井県議会は12月24日、議員の政治倫理条例で定めている県公共事業の請負に関する制限について「(議員の)配偶者または2親等以内の親族がかかわる企業」を対象から削除する改正案を議員提案し、全会一致で可決した。「議員のなり手不足解消」を理由に、全国の都道府県議会で最も厳しい規定を緩和した。 県議会政治倫理条例は2007年、06年に発覚した九頭竜川下流域の農業用水パイプライン事業入札を巡る談合事件のほか、全国でも官製談合事件が相次いだことなどを踏まえ、議員提案で成立した。 県議会局によると、全国で政治倫理条例を制定しているのは福井をはじめ、奈良、岩手、宮城、三重、滋賀、鳥取、広島、長崎の9県議会。親族を制限対象に含むのは福井だけで、議員本人が役員を務める企業による受注(全受注の2分の1以上)を禁じた地方自治法よりも厳しい内容だった。 改正案を提案した県会最大会派、自民党福井県議会の山岸猛夫会長は福井新聞の取材に「県議の兄弟姉妹や孫、その配偶者らが役員の企業は県発注事業を一切請け負えないとなると、事業承継の壁となり、議員のなり手不足にもつながってしまう」と説明。改正後も議員が報酬を受領する企業などの入札参加を制限する独自規定は残るとし「全国で最も厳しい水準は維持している」と強調した。 民主・みらいの北川博規会長は「議員になろうとする人は企業を抱えている人も少なくない。その門戸を閉ざすのはよくない」と賛成理由を述べた。その上で「疑わしきものがあれば、協議することを会派として提案していく」とした。
福井新聞社