「中国系頭脳」が“米国に流出”生成AIの熾烈な争い 動画生成「Pika」は華人・華僑の女性達が起業
高校卒業後はハーバード大学に進学し、修士課程を経てスタンフォード大学の博士課程に進学した。高校時代からマサチューセッツ工科大学(MIT)などアメリカの名門大学の研究者や起業家と交流を深め、創業や資金調達でもサポートを受けている。郭文景氏の生年月日は不明だが、昨秋の資金調達を報じる記事に26歳とあったので、現在は26、7歳のようだ。 3人目のメンバーは郭文景氏の高校の同級生で、北京大学に進学した陳思禹氏。同氏も秀才ぶりを国営メディアに紹介されたことがある。残りの1人はイスラエル人と報道されている。
Pikaは2023年11月末、今年6月と、計2回の資金調達を公表している。実は昨年11月末に5500万ドル(約86億円)を調達した際、杭州市に本社を置き、金融業界向けにソフトウェアを開発するサンヤード・テクノロジー(信雅達科技股分有限公司)の株価がストップ高になった。 同社の会長を郭文景氏の父親が務めており、Pikaと取引関係にある、あるいはPikaに出資しているとの噂が広まり、生成AI銘柄としてサンヤードの株価も急騰したのだ。慌てたサンヤードはすぐに、Pikaとの資本関係や取引を否定するコメントを発表した。
■米中対立は生成AIの開発競争でも 生成AIをめぐる開発競争はアメリカ企業がリードし、中国が必死に追い上げている。 2022年11月にオープンAIがChatGPTをリリースし、以前から同社に出資するマイクロソフトが自社サービスに搭載した。グーグルも続き、出遅れていたアップルも2024年6月10日、生成AI戦略を発表した。 一方中国ではバイドゥがやや先行しているものの、アリババ、テンセント、バイトダンスといったメガテックからAIスタートアップ、清華大学のような研究機関まで入り乱れてしのぎを削る。
米中関係の悪化で半導体、電気自動車(EV)など多くの産業で分断が進み、生成AIでも米中はライバルに見える。だが、アメリカの生成AIスタートアップは多国籍のメンバーで構成され、中国系人材も多数働いている、というのも1つの現実なのだ。 同分野で独走するオープンAIも例外ではない。 同社のサム・アルトマンCEOは最新モデル「GPT-4o」を発表した2024年5月中旬、X(旧Twitter)で、開発リーダーのPrafulla Dhariwal氏を名指しし、「彼なしには同製品は世に出なかった」と謝意を示した。