「モテたいから」始めたMMAで秒殺デビュー 大みそかを彩った“桜庭長男”大世に漂う風格「大人になって初めて人を殴れた」【RIZIN】
日本格闘技界で一世を風靡した名手・桜庭和志のDNAを受け継ぐ若武者が、大みそかのリングで鮮烈なデビューを果たした。さいたまスーパーアリーナで行われた総合格闘技イベント「RIZIN.49」で、矢地祐介(フリー)を相手に総合格闘技戦デビューした“サクジュニア”こと桜庭大世(サクラバファミリア)だ。 【動画】狙いすました一撃からのパウンド地獄 桜庭Jr.の秒殺KOシーン 「彼の日だった」――。敗れた矢地がそう認めたように、RIZINにとって節目となる10度目の大みそかの興行で、26歳のサラブレットが期待に応える瞬殺劇を見せた。 文字通り一瞬で勝負は決した。開始早々、立ち技の攻防となる中で、大世は左の蹴り足を掴まれたが、その刹那に左のパンチで矢地のアゴを打ち抜く。これでフッと崩れ落ちた矢地に追撃のパウンドを振り下ろしたところでレフェリーがストップ。わずか26秒で大世のTKO勝ちが告げられた。 正直に言えば、26秒決着は想定外。すべて推し量るのは容易ではない。それでも蹴り足を食い止められた直後に二の矢を繰り出し、仕留めきったスキルは称賛に値する。かつて大みそかの象徴となった『PRIDE』時代に日本格闘技界を支えた父・和志は対応力の高さもあって「IQレスラー」と評されたが、そのスタイルが受け継がれているように見えた。 高校時代から柔道には励んでいた。そこから24歳で不動産会社の営業担当からMMAに進んだ理由は「モテたいから」。本気か、冗談かの判断がつかない現代っ子感がある。だが、「ハハハハッ」と特徴的に笑う言動には人を惹きつける何かがある。試合後には「もうちょっと長くやったほうがみんなの目に留まる時間もあったので、もうちょっと長くやりたいなという気持ちもあった」と爽やかな笑みを浮かべた。 もちろん、経験値で勝る矢地を撃破したのは偶然ではない。KOシーンの打感を「大人になって初めてパーンッて人を殴れて、(矢地が)落ちていくときはスローに見えました」と回想。その上で「自分は蹴りが得意なんですけど、その蹴りを持たれてからパンチを出すのは練習していました」とイメージ通りの勝利であったと明かした。 「本当に僕は経験値が少ない。試合は出たいという気持ちはあります。でも、修業期間が欲しいという気持ちもあります。とにかく、修羅場を潜り抜けていく経験が少ないので、そういう体験をどんどんとしていきたい」 初のRIZINの舞台だが、「(さいたまスーパーアリーナは)思ったより小さかった。小さいときに来ていたので、すごく広いと思っていた」とも語る。そんな大物の風格を漂わせる26歳の今後に興味は尽きない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]