<CES>「HDMI 2.2」発表。96Gbps伝送、16K映像も対応。音ズレ改善技術も採用
HDMI規格の策定を行うHDMIフォーラム、ならびにHDMI技術のライセンス管理やマーケティングなどを行っているHDMI Licensing Administrator(HDMI LA)は、米ラスベガスで開催される「CES 2025」において、HDMI規格の新バージョン「HDMI 2.2」を発表した。2025年の上半期初頭より、各ライセンシー企業での採用が始まるという。 HDMI 2.2の大きなトピックが、96Gbpsの帯域幅をサポートしたこと。これは次世代の固定レートリンク(Fixed Rate Link、FRL)技術によって実現されており、より大きなデータを高速で伝送することを可能としている。 映像は8K 60および4K 240までの解像度/リフレッシュレートであれば非圧縮で伝送可能。圧縮技術を併用することで12K 120、16Kの解像度も伝送できるとのこと。 これにより、AR/VR/MRやライトフィールドディスプレイなどの没入型・仮想アプリケーション、大規模デジタルサイネージ、医療用画像処理、マシンビジョンといったさまざまな商用アプリケーションにおいてパフォーマンス向上が見込めるそうだ。 また、音声と映像の同期を改善するためのレイテンシー・インディケーション・プロトコル(Latency Indication Protocol、LIP)が採用。特にAVアンプやサウンドバーなどを組み込んだ多段システムにおいて、効果的に音ズレを改善できるとしている。 これらHDMI 2.2の全機能や96Gbps伝送をサポートするHDMIケーブルとして、「Ultra96 HDMIケーブル」も策定された。長さごとに試験と認証プログラムを実施し、認定された製品には偽造防止を兼ねた認証ラベルが表示される。市場には2025年の第3、第4四半期に登場する予定だという。 HDMIフォーラム プレジデントのチャンドリー・ハレル氏は、「HDMIフォーラムの普遍的な使命は、HDMIエコシステムの高性能機能への高まる需要に応える規格を開発することです。市場には目を見張る新テクノロジーや新製品が続々と投入されていますが、この新規格は、急速に進化するこうした状況に対応するものです」とコメント。コンテンツ制作者は常に革新を続けており、HDMI規格の更新はそれをサポートするために続けていることを強調した。 またHDMI LAのロブ・トバイアスCEOは、HDMI新バージョンの発表にあたり、「昨年9億以上のHDMI対応製品が出荷され、規格登場以来のデバイス数は140億を超えた。これほどの水準に達し、機能を充実させた標準規格はかつてない」と現在の市場動向について報告。 新型コロナウイルスの影響でエレクトロニクス/PC関連製品の売上が伸びた後、2023年にはいったん落ち込んだものの現在は回復傾向にあり、特にPC業界にとって2024年は良い年だったとアピールした。 またテレビでは4K 144Hz対応が一般的となり、4K 240Hz対応製品も登場しつつある。この流れはゲーム分野が牽引したものだという。北米市場ではこの傾向が特に顕著で、例えばコストコでは98ドルという安価な製品を販売。テレビメーカーが小型モデルを積極的に展開する動きもあると紹介した。
ファイルウェブ編集部