ファミコン、ラジコン、牛乳瓶のフタのめんこ、シール交換…「昭和ノスタルジック漫画」が読まれるワケ
「小学3、4年生の頃が一番、無茶ができて楽しかった気がします」
小学4年生の少年を主人公に、昭和時代の学校や家庭でのほのぼのとした日常を描くノスタルジック漫画『しなのんちのいくる』が読まれている。SNSの総フォロワー数は約27万人。約1年半の間に単行本『しなのんちのいくる』1巻と2巻は増刷を重ね、’23年12月26日には3巻目も発売された。 【漫画】懐かしい! 秘密基地、BB弾、喫茶店…あの頃の記憶がよみがえる! 物語の舞台は、昭和後期から平成にかけての1980年代終盤。主な登場人物はやんちゃだけど心優しい小学4年の森下いくる、仲のいい友達やクラスの女子たち、喧嘩もするが頼りになる姉のしなの。 お菓子のおまけのレアシールを必死に集め、牛乳瓶のフタでせっせとめんこを作り、学校帰りに堂々と駄菓子やアイスを買い食いし……。『しなのんちのいくる』には、そんな昭和の子どもたちの毎日が生き生きと描かれている。「あの頃」を知る世代であってもなくても、読むと心がほっこりする作品だ。 作者は仲曽良ハミさん。自らの意思でブログを作品発信の場に選んだ漫画家の一人である。 「ブログやSNSで漫画を発信するスタイル、僕は嫌いじゃないです。毎日アップするのも苦になりません」 むしろ楽しんでいる。仲曽良さんはそう話す。 「僕の場合は3、4ページぐらいの新作を週に2、3回、ライブドアブログに発表します。同時に、Ⅹ(旧Twitter)やInstagramでブログを更新したことを知らせて。SNSではPRするだけでなく、過去の作品も公開しています」 ブログやSNSで発信する漫画に描くのは、アナログが主流の昭和の世界。何を隠そう仲曽良さん自身が、昭和の後期にいくると同じ小学4年生だった世代だ。 「地元の同級生と久々に飲みに行くと、やっぱり思い出話に花が咲くんです。小学生時代のことが話題に上ると、みんなで笑い合える。だから、いつか漫画にしたいとずっと思っていました。 主人公を4年生にした理由‥‥‥そうですねぇ。高学年になるとそれなりに責任のある行動をとらないといけないし、低学年はまだ何もわかっていないし。3、4年生が一番、無茶ができて楽しかった記憶があります。 僕が小学4年生だった’80年代後半は子どもの遊び道具が進化した時代で、ファミコンやラジコンが大ヒットしました。ほしいものがたくさんあって、漫画には思い出に刻まれているおもちゃを描いています」 祭りでおなじみのの型抜き、「ビックリマンチョコ」や「ラーメンばあ」のおまけシール、牛乳瓶のフタのめんこ、上棟式の餅まきなど、作品には他にも昭和の「あったよなぁ」アイテムが次々と登場する。 「同じ40代の方が、SNSによくコメントを寄せてくれます。若い世代の方からは『知らなかった』、年上世代の方からは『僕らの時代はこれだった』というようなコメントをいただきます。僕の思い出を中心に描いているので、男性読者のほうが多いですね。しなのや女の子のキャラクターが主体の話になると、女性の方にも読んでいただけている印象です」