【“掴みガネ”の実態】現金の餞別をポケットに詰め込み…知られざる官房機密費の「不明瞭すぎる使途」
8月29日に公開した記事『【元運転手が決意の告白】官房機密費が内閣府送迎スタッフへの「特別手当」として使われていた!』と『【政治とカネの新問題が噴出】税金が原資の「官房機密費」が内閣府運転スタッフへ流れた「呆れる理由」』では、官房長官に仕える運転手やSPにも内閣官房報償費(官房機密費)が流れていることを報じた。 【写真】官房機密費の使途を暴露された、自民党を離れた「超大物議員」 内閣官房報償費とは、官房機密費とも呼ばれ、「国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費」とされる。国会のチェックを受けることなく、領収書不要で、使途も非公開で、時の政権の“掴みガネ”ともいえるものだ。 1998年に小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務氏ら官房長官経験者も機密費の使い道を、「法案を通すための野党議員との会食代や付け届け」「世論対策のために政治評論家への付け届け」「外遊する与野党国会議員への餞別」だと明かしている。 ◆「東京五輪の20万円アルバム」にも機密費が使われた疑惑が浮上 ’23年11月、石川県の馳浩知事(63)が講演で、東京五輪招致活動のために当時首相だった安倍晋三氏の指示で、国際オリンピック委員会(IOC)の委員に渡した1冊20万円のアルバムの原資に「機密費を使った」と口を滑らせた。 「アメーバブログの『はせ日記』には、当時の菅義偉官房長官(75)に〈安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携して、しっかりと招致を勝ち取れるように、お願いする〉と檄を飛ばされたことも綴られていました。この投稿からも、アルバムの原資に機密費を使ったことが確実なのではないかと記者の間でも噂になった」(全国紙政治部記者) 馳氏がすぐに口をつぐんだことで真相は藪の中となった。その後、麻生太郎政権下で官房長官を務めた河村建夫氏(81)は、疑惑についてこう補足した。 「馳さんが漏らした、あれも(機密費だ)。急に必要で予算に組めないし、国益につながる。そうしたカネは報償費でしか賄えない」 さまざまな疑惑の声が上がってきた機密費。そこには、さらに驚きの使われ方もあったという。 安倍政権から現・岸田政権まで運転手として官房長官らに仕えた石川小吉氏(仮名)は、8月29日公開のFRIDAYデジタルの記事で、長官秘書官が運転手やSPに「『特別手当』として機密費が原資とされる現金を手渡していた」ことを証言した(内閣府内閣総務官室や警視庁総務部広報課広報第三係は実質、無回答)。 その石川氏が、さらに官邸内で見聞きした“意外な機密費の使途”についても明かした。それが「外遊する与野党国会議員への餞別」だ。 ’22年8月、第2次岸田第1次改造内閣において文部科学大臣に抜擢された永岡桂子氏(70)は’23年6月21から26日までインド、マレーシアに外遊した。外遊前、永岡氏は当時の官房長官の松野博一氏(61)に官邸に呼ばれたという。石川氏が語る。 「外遊前には官房長官から“餞別”として現金で数百万を手渡す慣習があります。察しのいい新閣僚は札束を入れるバッグを持ってきますが、永岡さんは手ぶらだった。しかも初夏のため薄着で、スカートのポケットにしか現金を入れる場所がなかった。 仕方なくポケットに札束を入れたものの、部屋を退出した後に官邸内で札束を落としたと聞きました。“ポケットの膨らみ具合からして、300万円はもらったはず”と言われていました」 国民の税金が原資である官房機密費を「餞別」に使っていたのか――。双方へ事実関係について質したところ、永岡事務所は「事実無根」と否定。松野事務所は「お尋ねの事実は一切ございません」と回答した。 石川氏は運転手として見てきた、「知られざる閣僚たちの実態も告げたい」とまなじりを決した。 取材・文:岩崎大輔
FRIDAYデジタル