《連載:茨城県内2024 10大ニュース》パリ五輪、県勢が活躍
■永野選手ら「金」3人 7~9月にかけ、日本中を熱狂させたパリ五輪・パラリンピック。五輪で日本勢は金メダル20個、銀12個、銅13個の計45個を獲得した。金メダル数と獲得総数は海外開催の五輪では歴代最多に上った。茨城県ゆかりの選手たちの活躍も目覚ましく、フェンシング男子団体フルーレの永野雄大選手(26)=同県水戸市出身=らが五輪で3個の金メダルを勝ち取るなど、多くの県民に感動を与えた。 永野選手はリザーブメンバーとして出場。強豪イタリアとの決勝では、一進一退の攻防を繰り広げた終盤の第8試合に大会初の出番が訪れた。軽快なステップから5連続得点で流れを呼び込み、同種目で日本勢初の優勝に貢献。同市に凱旋した際には、出身校の浜田小の児童に対し、「熱中できるものがあればいい結果を持ち帰ることができる」と語った上で、「4年後のロサンゼルス五輪では個人、団体と二つの金メダルを持ち帰りたい」と意欲を示した。 柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手(31)=筑波大出身=は東京大会に続き、連覇を達成した。同階級では史上初となる偉業で、「自分を信じて戦うことができた」。拠点を同県つくば市に置き、母校の道場で汗を流した。東京大会後は不振にあえぎ、年齢も30代に突入したが、「考え方一つで全く違う成果が得られる」と一心不乱に稽古を続けた。迎えたパリ大会は初戦から5試合で一つも技ありを奪われない圧勝だった。ジョージア人選手との決勝は接近戦から一本を奪う会心の勝利だった。 レスリング男子フリースタイル57キロ級の樋口黎選手(28)=茨城・霞ケ浦高出身=は悲願の頂点に立った。8年前のリオデジャネイロ大会は銀、3年前の東京大会はまさかの計量失格で涙をのんだ。迎えた決勝は第1ピリオドを0-2で折り返したが、得意の片足タックルからアンクルホールドで得点を稼ぐ戦法で劣勢を覆した。選手として花を咲かせた高校時代から負けず嫌いな性格の持ち主。諦めずにつかみ取った「3度目の正直」に笑顔がはじけた。 このほか、幼少期をつくば市の柔道クラブで過ごした男子90キロ級の村尾三四郎選手(24)は初の五輪で銀メダルを獲得した。 パラリンピックで、柔道男子73キロ級(弱視)の瀬戸勇次郎選手(24)=筑波大出身=が全3試合に一本勝ちし、金メダルを手にした。7キロの増量による階級変更を乗り越え、堂々の初制覇だった。柔道女子48キロ級(全盲)の半谷静香選手(36)=筑波技術大出身=は4度目の大舞台で初の表彰台となる準優勝を収めた。 次の熱戦は4年後。県勢のさらなる躍進に注目が集まる。
茨城新聞社