1枚150円!77歳の店主が焼く『おもひで焼』 京都で40年以上愛されるお好み焼き店と“おばちゃん”は「唯一無二の存在」「安心して過ごせる場所」
2年前まで1枚100円…お客さんに心配されて150円に値上げ
店をオープンしたのは1980年、裕子さんが33歳のときでした。もともと3歳の頃から両親と住んでいた実家で、立地の良さから「店として貸してほしい」という引き合いが多く、「それなら自分で」と一念発起。飲食未経験からスタートしました。 (裕子さん)「これは私が小さいときに『べた焼き』言うて食べたものなんや。(材料は)メリケン粉・粉がつお・キャベツ・ネギ・天かす・しょうが・ぶた肉。大(450円)は卵入るから。私、駄菓子屋さんによう食べに行っていたし。好きやったし、それでしたんえ。庶民的なもんで」 「誰でも気軽に食べてほしい」と2年前までは小が1枚100円でしたが、お客さんに心配され、しぶしぶ値上げ。 (裕子さん)「いつもようけ買いに来るお客さんから『もうええ加減にしたら?』って。『もうええ加減に(値段)上げて。それより、この店辞めるって言われた方がかなわんし』って」 でも裕子さん、お店は絶対に辞めない覚悟です。 (裕子さん)「(Qのれんの題字は誰かが書いた?)これ、誰やったやろ…これ主人かな?原本が」 だってこの店名は、5年前に亡くなった夫が残してくれたものだから。 (裕子さん)「(夫とは)49年くらい一緒やったな。みんなこのネーミング、ええって言ってくれはる人多いよ。『ひ』が。なんかようわからへんけど、そやさかい、よかったなと思って」
『ちっちゃなおもひで』は「安心して過ごせる場所」
午後0時45分、そんな裕子さんの店に、「おもひで焼」を愛してやまない長年の常連さんが訪れました。30年以上通っているというこちらの常連客の女性は、91歳です。 (常連客)「だいぶ長いこと来てるな」 (裕子さん)「もう顔知ってるもんな、で、いつも3枚ってわかってんねん」 毎回3枚持ち帰り、3食のおかずにするほどソースの味がお気に入りだそうです。 (裕子さん)「元気でいてや、私も元気でいるしな。いつも来はる人が来はらへんかったら寂しいしな」 (常連客)「450円?」 (裕子さん)「ありがとう」 午後2時30分、裕子さんの顔を見て足を止める人がいました。 (裕子さん)「奥さん、このあいだ買いに来てくれはったで」 (常連客)「あ、ほんま!食べさせていただきました」 (常連客)「(Qどれくらいの付き合い?)もう30歳になる(自分の)子どもが生まれるか、生まれないかぐらいからお付き合いしています。(Qこのお店はどんな存在?)やっぱり日頃馴染んでいるお店で、知り合いでもありますし、安心して過ごせる場所ですね」
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