長男に続き二男も同じ難病フェニルケトン尿症に。一生続く治療と食事制限。かわいそうではなく、頑張っている子どもたちを応援してほしい【体験談】
食事制限があってもかわいそうではない。頑張っている子どもたちを応援してほしい
ひとみさんの長男は現在、幼稚園に通い、給食からタンパク質の多い肉、魚類などの食材を抜いて、みんなと一緒に食べているそう。 「市に、受け入れが可能な園を問い合わせました。幸い自宅からいちばん近い園で受け入れてもらえて。始めはお弁当の予定でしたが、みんなと同じほうがうれしいだろうと給食で対応してもらえることになりました。たとえば主菜がハンバーグだったら、うちの子の給食には出ません。あなたはPKUだから、お肉やお魚は出ないから、みんなと給食の中身が少し違うよ、ということは事前に伝えました。それでも、子どもは給食をとても喜んでいます。 よく、お肉やお魚が食べられないと、かわいそうっていわれることがあるんですね。確かに、制限があって生活上多少の不便はあっても、決して不幸ではないんです。『かわいそう』ではなくて、毎日ミルク飲んで、タンパク質制限頑張っているねという目で応援してもらえるとうれしいです」(ひとみさん) 国や医療従事者にも届いてほしい声、願いがあるとひとみさん。 「治療用ミルクは医薬品として保険で補助されるんですが、低たんぱく米などの食品は、補助の対象にはなりません。低たんぱく米は魚沼産コシヒカリの3倍くらいの価格で、高価です。また最近は地震や豪雨による災害も多く、治療用ミルクや低たんぱく米はどこでも手に入るものではないので、わが家も非常用にストックしています。治療のため、生きるために必要な食品への補助へも目を向けてもらえるようになったらと常に思っています。 そして、医療従事者の方々も正しい知識、しかもアップデートされた知識を持ってほしい。私は、最初に長男の病気を知らされたとき、産婦人科の先生から母乳を飲ませることはできないといわれたんです。のちに母乳を飲ませても問題ないと知って、当時母乳を与えるのが怖くなり飲ませなかったことを後悔しました。普通の人は医師の言葉を信じますし、それによって気持ちや考えも変わる。ひと言がとても重いことを知ってほしいです」(ひとみさん) お話・写真提供/村山ひとみさん 取材・文/ムトウハルコ、たまひよONLINE編集部 いつか、PKUの子どもたちと低たんぱくそうめんを使った流しそうめんや野菜だけのバーベキューをやってみたい、と話すひとみさん。そこには子どもたちが楽しめることを実現したいという、シンプルな親の姿がありました。 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。
村山ひとみさん
PROFILE 指定難病フェニルケトン尿症を持つ4才と3才の2人の男の子のママ。PKU親の会の運営スタッフとして、インスタグラムでの情報発信や料理教室などを行っている。Xでもあんころとして日々の育児や食事について情報発信中。 ■PKU親の会ホームページ https://www.japan-pku.net/ ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年8月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部
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