「上皇さまのために生きていらっしゃる」90歳の上皇后美智子さま ピアノの深い音色とご夫妻の絆
「上皇さまのために生きていらっしゃる」信頼と敬愛
お代替わり後の静かな生活に潤いをもたらしている「音楽のご友人」たちとの変わらぬ交流。小山さんはご夫妻の穏やかな会話から堅い絆を感じています。 「上皇さまは美智子さまを心から信頼され、美智子さまは上皇さまのことを敬愛、尊敬されている。『陛下いかがでしょう』『そうね』と穏やかに会話し見つめ合われているのは信じられないくらい素晴らしいことだと感じます」 美智子さまのピアノの深い音色から、芯の強さや「上皇さまのために生きていらっしゃるのかなと思う瞬間」が何度もあるそうです。「美智子さまの幸せは上皇さまの幸せのためにあるような瞬間を何度も拝見しました」。 以前、10年半にわたり在位中の上皇さまに仕えた渡辺允侍従長に、陛下(上皇さま)が一番うれしそうなのはどんなときか尋ねると、「皇后さま(美智子さま)がうれしそうな時」という答えが返ってきました。 その後葉山御用邸の前の浜辺で、美智子さまが地元の人たちと楽しく会話を弾ませられている後ろで、微笑みながら見守られている上皇さまを拝見し、まさにこのお姿のことだと感じた経験があります。
お互いの喜びが我が喜び 音楽が築いた揺るぎない絆
誕生日にあたり公開された映像は、骨折の2日前に撮影されたもの。 美智子さまは深いブルーグレーのジャケット姿で上皇さまとしっかり手を繋がれています。 10年以上美智子さまの洋服を手がけるファッションデザイナーの滝沢直己さんによりますと、ジャケットの素材は軽くてしわになりづらく、髪の色などともよく合う日本の伝統的な「青磁色」。最近よくお召しになる色味だそうです。「ジャケットもゆったりとしたボトムも、車椅子やリハビリのご生活にさほどご不自由は無いのでは無いかと思います」と滝沢さんは話していました。 胸元に留められているブローチは、上皇さまがエリザベス女王の戴冠式に出席するための初めての外国訪問中、未来の后のためにスペインで買い求め、婚約発表の日に美智子さまに贈られたもの。思い出深いブローチを、美智子さまは今もよく節目や大切な場面で身につけられています。 初めて民間から皇太子妃として皇室に入られてから65年。想像もつかないような様々な困難に向き合いながら、お二人で支え合って一つの道を歩んでこられました。 幼い頃から親しまれているピアノや児童文学などを通して、美智子さまは豊かな交流の輪や上皇さまとの揺るぎない絆を築き上げられ、お互いの喜びが我が喜びとなり、揃って90歳を迎えられました。 今回の骨折・手術もお二人で乗り越え、しっかりと手を繋いで歩き、ご一緒に音楽を楽しまれる日常が一日も早く戻るよう願っています。
宮﨑千歳