「創業家理事長」が消滅させた大学――「夙川学院」不祥事の構造
ガバナンスのあり方を学校法人自身が決めている限り、不祥事も繰り返されると見るべきだ(夙川学院公式サイトより)
兵庫県西宮市の阪急夙川(しゅくがわ)駅から甲陽園駅に向かう支線「阪急甲陽線」沿線は、関西でも指折りの高級住宅街だ。山沿いには関西学院大学をはじめ多くの学校が点在し、文教地区であることも住宅地としての価値を高めてきた。 そんな甲陽線沿いの神園町の道路信号にあった「夙川学院前」という標識が消えたのは1年ほど前のことだ。かつて、ここには夙川学院高校・中学校の広大なキャンパスが広がっていたが、今は総戸数353戸の「ヴェレーナシティ夙川パークナード」など高級マンション・住宅に姿を変えた。 夙川学院は数々の不祥事の末に資金繰りが行き詰まり、キャンパスを移転、2019年には高校、中学ともに他の学校法人の手に渡った。神園町のキャンパスは売却され、高級マンション群へと姿を変えたわけだ。今、その一角には「認定こども園」があるが、規模を縮小して短大とこども園だけを持つ学校法人になり、神戸市長田区に移転した「夙川学院」が今も経営する。
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磯山友幸