リオ五輪、本当に価値あるメダルは?
リオ五輪の日本選手団の解団式が25日、都内で行われ、公式行事は10月に予定されているメダリストの都内パレードを残すのみとなった。日本は過去最多となる41個のメダルを獲得。金メダルも12個と、東京、アテネの16個、ミュンヘンの13個に続く個数となった。リオ五輪を振り返って、感動シーンや印象シーンを国内外のメディアが紹介している。金から銅までのメダル獲得競技はもちろん、その競技にとって価値の高い入賞もあった。では、本当に価値のあるメダル、インパクトの強かったメダルは、どれだったのか? 閉会式の東京のPRビデオ映像に北島康介、高橋尚子に登場したロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストの村田諒太(30、帝拳)に尋ねたところ、印象に残ったメダルとして、女子レスリング58キロ級で4連覇を果たした伊調馨(32、ALSOK)と、陸上の男子400mリレーの銀メダルを挙げた。 「伊調馨さんは、女子競技では史上初となる4連覇です。試合後のインタビューをテレビで見たのですが、“もう少し良い試合がしたかった”と言っていました。4連覇、金メダルだけで満足しないところが凄いなと思いましたね。 それと陸上の400mリレーは、アメリカに勝ったことが素晴らしい。単純なタイムだけでは勝てないから、バトンパスとか技術面で補った。世界に通じる日本の文化ですよね。その素晴らしさと、絶対にアメリカやジャマイカに勝てないと思われてきた短距離の常識を打ち破ってくれた素晴らしさに脱帽でした」 村田が金メダルを獲得したミドル級も「東洋人が通用しない」と言われていた中重量級。そしてプロに転向した彼は、今、アマチュア以上に難しいと言われているミドル級での世界チャンピオンを目指している。競技こそ違えど、そういう常識を日本人の器用さや、生真面目さという長所を生かして打ち破った山縣亮太(24、セイコー)、飯塚翔太(25、ミズノ)、桐生祥秀(20、東洋大)、ケンブリッジ飛鳥(23、ドーム)の4人に、 村田は何かのヒントを感じたのかもしれない。 村田は「水泳や柔道など躍進した競技では、連盟や協会が4年間続けてきた努力の成果が見えたように感じました」という。ロンドン五輪で、史上初の金メダルゼロに終わった男子柔道は、金2つを含む全階級メダル獲得という快挙を成し遂げて、お家芸復活に成功した。井上康生監督がリーダシップを発揮して徹底的に進めた改革の成果だった。柔道界は、様々なスキャンダルに揺れ、大きく体制が入れ替わったが、人が変われば組織が変わり、強化システムも変わり、強くなる、という統括マネジメントのあり方を端的に示した。 男子柔道の復活は、リオ五輪で取り上げるべきトピックスのひとつだろう。